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文武訓 / 文訓下之末

一書をよみ書を見るには、一書に專なるべし。或は經を見史を見て、二書を兼ぬるも亦よし。一時に書を數多見るべからず。專一ならざればまぎれてくはしからず。工夫わかれては、精熟せずして功をなしがたし。一册子をこしらへ、諸書の要語を抄寫して、時々記誦すべし。要語をおぼゆれば、功を用ふること少にしても其益多し。故に、要用なることは必ず記誦すべし。記誦せざれば用をなしがたし。

新字:一書をよみ書を見るには、一書に専なるべし。或は経を見史を見て、二書を兼ぬるも亦よし。一時に書を数多見るべからず。専一ならざればまぎれてくはしからず。工夫わかれては、精熟せずして功をなしがたし。一册子をこしらへ、諸書の要語を抄写して、時々記誦すべし。要語をおぼゆれば、功を用ふること少にしても其益多し。故に、要用なることは必ず記誦すべし。記誦せざれば用をなしがたし。

書き下し

一書をよみ書を見るには、一書に専なるべし。或は経を見史を見て、二書を兼ぬるも亦よし。一時に書を数多見るべからず。専一ならざればまぎれてくはしからず。工夫わかれては、精熟せずして功をなしがたし。一册子をこしらへ、諸書の要語を抄写して、時々記誦すべし。要語をおぼゆれば、功を用ふること少にしても其益多し。故に、要用なることは必ず記誦すべし。記誦せざれば用をなしがたし。

現代語訳

書を読み書を見るには、一つの書に専念すべきです。あるいは経書を見、史書を見て、二つの書を兼ねるのもまたよいでしょう。一時に多くの書を見てはいけません。専一でなければ、紛れて詳しくなりません。工夫が分かれると、精しく熟さず、功を成しにくいのです。冊子をこしらえて、諸書の要語を抜き書きし、時々暗誦すべきです。要語を覚えれば、力を用いることが少なくてもその益は多いのです。ですから、大切なことは必ず暗誦すべきです。暗誦しなければ用をなしにくいのです。

解説

読書法の二つの具体的な助言です。一つは、一度に多くの本に手を出さず一冊に専念すること(経書と史書の二冊並行までは可)。もう一つは、ノートを作って大事な言葉を書き抜き、時々暗誦することです。益軒自身、膨大な抜き書きを残した人でした。今でも、積読を増やすより一冊を読み切り、心に残った一節を手帳に写して繰り返し読む方が身につきます。書き写して覚えた言葉は、いざというときに自分を支える力になります。

この章句が説くこと

読書専一暗誦抜き書き学問

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