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文武訓 / 文訓下之末

一小學の書の文義に通ぜば、其力を以て、類を以ておして四書を見るべし。四書を見て其文義に通ぜば、六經に通ずべし。しからば、小學を以て身を修むるの大法とするのみならず、又經學の基とすべし。一初學の人、朝には經傳を見、朝飯後には經書をよみ、晝は史漢の書を見、或は、諸子諸集を見、文字を書きならひ、法帖をうつし、飯後には頭面腹をなで、園圃を步行する事數百步、道遙して精神を舒暢すべし。晩飯の後は弓を射、其餘の武藝をも習ふべし。夜は又經傳をよみ、或は經史子集の要語を讀み、唐詩を誦し和歌をよむべし。故事古語をよみ覺ゆべし。夜臥にのぞんでは、一日の中の言行を點檢して、あやまりすくなくんば心安く寢ぬべし。每日如斯すべし。

新字:一小学の書の文義に通ぜば、其力を以て、類を以ておして四書を見るべし。四書を見て其文義に通ぜば、六経に通ずべし。しからば、小学を以て身を修むるの大法とするのみならず、又経学の基とすべし。一初学の人、朝には経伝を見、朝飯後には経書をよみ、昼は史漢の書を見、或は、諸子諸集を見、文字を書きならひ、法帖をうつし、飯後には頭面腹をなで、園圃を歩行する事数百歩、道遥して精神を舒暢すべし。晩飯の後は弓を射、其余の武芸をも習ふべし。夜は又経伝をよみ、或は経史子集の要語を読み、唐詩を誦し和歌をよむべし。故事古語をよみ覚ゆべし。夜臥にのぞんでは、一日の中の言行を点検して、あやまりすくなくんば心安く寝ぬべし。毎日如斯すべし。

書き下し

一小学の書の文義に通ぜば、其力を以て、類を以ておして四書を見るべし。四書を見て其文義に通ぜば、六経に通ずべし。しからば、小学を以て身を修むるの大法とするのみならず、又経学の基とすべし。一初学の人、朝には経伝を見、朝飯後には経書をよみ、昼は史漢の書を見、或は、諸子諸集を見、文字を書きならひ、法帖をうつし、飯後には頭面腹をなで、園圃を歩行する事数百歩、道遥して精神を舒暢すべし。晩飯の後は弓を射、其余の武芸をも習ふべし。夜は又経伝をよみ、或は経史子集の要語を読み、唐詩を誦し和歌をよむべし。故事古語をよみ覚ゆべし。夜臥にのぞんでは、一日の中の言行を点検して、あやまりすくなくんば心安く寝ぬべし。毎日如斯すべし。

現代語訳

『小学』の書の文意に通じたなら、その力によって、類推して四書を読むべきです。四書を読んでその文意に通じたなら、六経に通じるべきです。そうすれば、『小学』を身を修める大きな法とするだけでなく、また経学の基礎ともできます。初学の人は、朝には経伝を見、朝食後には経書を読み、昼は『史記』『漢書』などの書を見、あるいは諸子や諸家の文集を見、文字を書き習い、法帖を写し、食後には頭・顔・腹をなで、庭や畑を数百歩歩き、ぶらぶらして精神をのびやかにすべきです。夕食の後は弓を射、そのほかの武芸も習うべきです。夜はまた経伝を読み、あるいは経史子集の要語を読み、唐詩を誦し和歌を詠むべきです。故事や古語を読んで覚えるべきです。夜寝るときには、一日の中の言行を点検して、誤りが少なければ安心して寝るべきです。毎日このようにすべきです。

解説

前半は学ぶ順序で、『小学』から四書へ、四書から六経へと段階を追って進めと説きます。後半は初学者の一日の時間割で、朝は経書、昼は史書や諸子と習字、食後は腹をなでて散歩し、夕方は武芸、夜は要語や詩歌、寝る前には一日の言行を振り返るという具体的なものです。『養生訓』の著者らしく、学問の合間に体をほぐし歩くことまで組み込んでいるのが特徴です。学びと運動と反省を一日の中に配した、今でも手本になる生活設計です。

この章句が説くこと

学問読書養生習慣小学

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