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文武訓 / 文訓下之末

一わが國の書生詩人、多くは、もろこしの歷代の故事をば記すれども、わが國の日本紀以下の國史にくらく、又、律令格式を知らず、萬葉以下の歌集を見ず。故にわが國の古今歷代の事、本朝の典故にくらく、和語に通ぜず、和漢の文を書き、わが國の事をしるせばあやまる。ちかきわが國のことを捨てて知らず、遠きもろこしのことを專にするはあやまれるなり。

新字:一わが国の書生詩人、多くは、もろこしの歴代の故事をば記すれども、わが国の日本紀以下の国史にくらく、又、律令格式を知らず、万葉以下の歌集を見ず。故にわが国の古今歴代の事、本朝の典故にくらく、和語に通ぜず、和漢の文を書き、わが国の事をしるせばあやまる。ちかきわが国のことを捨てて知らず、遠きもろこしのことを専にするはあやまれるなり。

書き下し

一わが国の書生詩人、多くは、もろこしの歴代の故事をば記すれども、わが国の日本紀以下の国史にくらく、又、律令格式を知らず、万葉以下の歌集を見ず。故にわが国の古今歴代の事、本朝の典故にくらく、和語に通ぜず、和漢の文を書き、わが国の事をしるせばあやまる。ちかきわが国のことを捨てて知らず、遠きもろこしのことを専にするはあやまれるなり。

現代語訳

わが国の書生や詩人の多くは、中国の歴代の故事は書くけれども、わが国の『日本書紀』以下の国史に暗く、また律令格式を知らず、『万葉集』以下の歌集を見ません。そのためわが国の古今歴代の事や、本朝の典故に暗く、和語に通じず、和漢の文を書いてわが国のことを記すと誤ります。近いわが国のことを捨てて知らず、遠い中国のことばかりを専らにするのは誤りです。

解説

益軒は儒者でありながら、中国の知識ばかりを誇って自国の歴史や古典を知らない学者を強く批判します。『日本書紀』や律令、『万葉集』を知らなければ、日本のことを正しく書けないからです。益軒自身、『筑前国続風土記』など地元の地誌をまとめた人で、身近なことを知る大切さを実践していました。今でも海外の事例には詳しいのに自社や地域の歴史を知らないということがあります。足もとを知ることが、外の知識を生かす土台になります。

この章句が説くこと

和学歴史国史学問足もと

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