文武訓 / 文訓下之末
一富貴の家に生れて、道に志なければ、人にあはれみなく、物に情なく、萬の理を知らず、おこたりて書を讀まず、よき道を學ばずして、知惠ひらけず、人の道知るべきやうなし。財多く勢ありて、善を行ふにちからあれども、善を好まざれば行はず。是貧賤にして道をこのむ人におとれり。もし智ありて、幸にして富貴に生れたる人は、善をこのみて廣く人を救ひたすけば、富貴なるかひありて、甚樂むべし。
新字:一富貴の家に生れて、道に志なければ、人にあはれみなく、物に情なく、万の理を知らず、おこたりて書を読まず、よき道を学ばずして、知恵ひらけず、人の道知るべきやうなし。財多く勢ありて、善を行ふにちからあれども、善を好まざれば行はず。是貧賤にして道をこのむ人におとれり。もし智ありて、幸にして富貴に生れたる人は、善をこのみて広く人を救ひたすけば、富貴なるかひありて、甚楽むべし。
書き下し
一富貴の家に生れて、道に志なければ、人にあはれみなく、物に情なく、万の理を知らず、おこたりて書を読まず、よき道を学ばずして、知恵ひらけず、人の道知るべきやうなし。財多く勢ありて、善を行ふにちからあれども、善を好まざれば行はず。是貧賤にして道をこのむ人におとれり。もし智ありて、幸にして富貴に生れたる人は、善をこのみて広く人を救ひたすけば、富貴なるかひありて、甚楽むべし。
現代語訳
富貴の家に生まれても、道に志がなければ、人への思いやりがなく、物事に情けがなく、あらゆる道理を知らず、怠けて書を読まず、良い道を学ばないので、知恵が開けず、人の道を知るすべもありません。財産が多く勢いもあって、善を行う力はあっても、善を好まなければ行いません。これは貧しくても道を好む人に劣ります。もし知恵があって、幸いにも富貴に生まれた人が、善を好んで広く人を救い助けるなら、富貴に生まれたかいがあって、大いに楽しいことでしょう。
解説
この章句が説くこと
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