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文武訓 / 文訓下

一君父につかうまつりて、いとまあらば經史を讀むべし。經をみて道に通じ、史をよんで古を知る、其樂きはまりなし。又其間、少しのいとまを用ひて、古の文章を見るも亦樂むべし。古文は、左傳、楚詞、文選をはじめ、漢唐宋より明にいたりて、諸大家の文集多し。只詞のうるはしきをのみ好むべからず。義理を發明し知識を開くべし。又いとまありて閑なる折々は、唐やまとの詩歌をもてあそぶも、心をなぐさむるわざなり。

新字:一君父につかうまつりて、いとまあらば経史を読むべし。経をみて道に通じ、史をよんで古を知る、其楽きはまりなし。又其間、少しのいとまを用ひて、古の文章を見るも亦楽むべし。古文は、左伝、楚詞、文選をはじめ、漢唐宋より明にいたりて、諸大家の文集多し。只詞のうるはしきをのみ好むべからず。義理を発明し知識を開くべし。又いとまありて閑なる折々は、唐やまとの詩歌をもてあそぶも、心をなぐさむるわざなり。

書き下し

一君父につかうまつりて、いとまあらば経史を読むべし。経をみて道に通じ、史をよんで古を知る、其楽きはまりなし。又其間、少しのいとまを用ひて、古の文章を見るも亦楽むべし。古文は、左伝、楚詞、文選をはじめ、漢唐宋より明にいたりて、諸大家の文集多し。只詞のうるはしきをのみ好むべからず。義理を発明し知識を開くべし。又いとまありて閑なる折々は、唐やまとの詩歌をもてあそぶも、心をなぐさむるわざなり。

現代語訳

主君や父に仕えて、暇があれば経書と史書を読みなさい。経書を読んで道に通じ、史書を読んで古を知る、その楽しみは極まりがありません。またその間に、少しの暇を用いて古の文章を見るのもまた楽しいものです。古文は、『左伝』『楚辞』『文選』をはじめ、漢・唐・宋から明に至るまで、諸大家の文集が多くあります。ただ言葉の美しさだけを好んではいけません。義理を明らかにし、知識を開きなさい。また暇があって閑な折々は、中国や日本の詩歌をもてあそぶのも、心を慰めるわざです。

解説

主君や親に仕える務めの合間に、経書で道を、史書で古を学び、さらに古文や詩歌にも親しめと、学びの順序と楽しみを示しています。古文も言葉の美しさだけでなく義理を明らかにし知識を開くために読めという点に、益軒の実学的な姿勢がうかがえます。藩に仕えながら膨大な読書と著述を重ねた益軒自身の暮らしぶりが反映しています。今の働く人にとっても、仕事の合間の読書は、道理と歴史と教養を養う貴重な時間になります。

この章句が説くこと

読書経史学問古文楽しみ

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