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文武訓 / 文訓下

一凡世の中のこと、すべてわが心にまかせがたく、我まゝならぬ事のみぞおほかる。只讀書の一事のみ、わがなさんと思ふ志だにあれば、つとめて思ふやうにせんも、我が心のまゝなり。それだにおこたりてなさず、いたづらに月日をつひやせば、いふかひなくてまことに惜むべし。

新字:一凡世の中のこと、すべてわが心にまかせがたく、我まゝならぬ事のみぞおほかる。只読書の一事のみ、わがなさんと思ふ志だにあれば、つとめて思ふやうにせんも、我が心のまゝなり。それだにおこたりてなさず、いたづらに月日をつひやせば、いふかひなくてまことに惜むべし。

書き下し

一凡世の中のこと、すべてわが心にまかせがたく、我ままならぬ事のみぞおほかる。只読書の一事のみ、わがなさんと思ふ志だにあれば、つとめて思ふやうにせんも、我が心のままなり。それだにおこたりてなさず、いたづらに月日をつひやせば、いふかひなくてまことに惜むべし。

現代語訳

およそ世の中のことは、すべて自分の心のままにはならず、思いどおりにならないことばかり多いものです。ただ読書の一事だけは、自分がしようと思う志さえあれば、努めて思うようにするのも自分の心のままです。それさえ怠ってせず、いたずらに月日を費やせば、言いようもなく、まことに惜しいことです。

解説

世の中は思いどおりにならないことばかりだが、読書だけは志さえあれば思いのままにできると述べ、それさえ怠るのは惜しいと戒めます。富や地位や他人は思いどおりにならなくとも、学ぶことは自分次第だという考えは、晩年まで学び続けた益軒の実感でしょう。楽訓の読書の楽しみとも響き合います。今でも、環境や他人のせいにしたくなるとき、自分の意思で必ずできることとして学びがあります。小さな読書習慣が、自分の人生を自分で動かす手ごたえになります。

この章句が説くこと

読書志学問自由時間

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