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文武訓 / 文訓下

一假名づかひといふは、國字四十七字の内、いゐ、おを、えゑ、此三は同音なり。上中下の在所につきて、用ふる字かはるなり。はひふへほの五字、和訓の下にある時は、わゐうゑを、と讀むなり。是は同音に非ず。上の、いゐ、をお、えゑ、は同音なり。上の續によりて、轉じて同音として字を書きかふるなり。はひふへほと、わゐうゑをは同音にあらず。同音にあらざれども、下にある時は同音として讀むなり。又漢字の音も、韻の開合にしたがひて、文字づかひ變る。又、てには、字によりて假名遣かはる。

新字:一仮名づかひといふは、国字四十七字の内、いゐ、おを、えゑ、此三は同音なり。上中下の在所につきて、用ふる字かはるなり。はひふへほの五字、和訓の下にある時は、わゐうゑを、と読むなり。是は同音に非ず。上の、いゐ、をお、えゑ、は同音なり。上の続によりて、転じて同音として字を書きかふるなり。はひふへほと、わゐうゑをは同音にあらず。同音にあらざれども、下にある時は同音として読むなり。又漢字の音も、韻の開合にしたがひて、文字づかひ変る。又、てには、字によりて仮名遣かはる。

書き下し

一仮名づかひといふは、国字四十七字の内、いゐ、おを、えゑ、此三は同音なり。上中下の在所につきて、用ふる字かはるなり。はひふへほの五字、和訓の下にある時は、わゐうゑを、と読むなり。是は同音に非ず。上の、いゐ、をお、えゑ、は同音なり。上の続によりて、転じて同音として字を書きかふるなり。はひふへほと、わゐうゑをは同音にあらず。同音にあらざれども、下にある時は同音として読むなり。又漢字の音も、韻の開合にしたがひて、文字づかひ変る。又、てには、字によりて仮名遣かはる。

現代語訳

仮名遣いというのは、国字四十七字のうち、「い・ゐ」「お・を」「え・ゑ」、この三組は同じ音です。語の上・中・下の位置によって、用いる字が変わるのです。「はひふへほ」の五字は、和訓の下にある時は「わゐうゑを」と読みます。これは同じ音ではありません。上の「い・ゐ」「を・お」「え・ゑ」は同じ音です。上の続きによって、転じて同じ音として字を書き換えるのです。「はひふへほ」と「わゐうゑを」は同じ音ではありません。同じ音ではないけれども、語の下にある時は同じ音として読むのです。また漢字の音も、韻の開合に従って、文字遣いが変わります。また、てにをはも、字によって仮名遣いが変わります。

解説

いろは四十七字のうち「い・ゐ」「お・を」「え・ゑ」は同じ音で、語の中の位置により書き分けること、語中・語尾のハ行はワ行のように読むこと、漢字音の仮名遣いは韻の開合に従うことなど、仮名遣いの基本を説明しています。当時は契沖らによる歴史的仮名遣いの研究が進みつつあった時期で、益軒も和文を正しく書く基礎として重んじました。今では現代仮名遣いが定着していますが、古典を読むときや言葉の成り立ちを知るうえで、この知識は今も役立ちます。

この章句が説くこと

仮名遣い和文国語文字言葉

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