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文武訓 / 文訓下

一よく書を見る人は、一句を見ても、其理を得て用ふれば、用をなして益あり。よく書を讀まざる人は、千萬卷のふみを讀んでも、其よきことを取用ふることを知らず、益なし。たとへば、石をわりて玉をとる人あり。是よく玉を知ればなり。寶の山に入りても、手を空しくして歸る人あり。是玉を知らざればなり。書を見る人、益あると益なきとも、亦かくのごとし。

新字:一よく書を見る人は、一句を見ても、其理を得て用ふれば、用をなして益あり。よく書を読まざる人は、千万巻のふみを読んでも、其よきことを取用ふることを知らず、益なし。たとへば、石をわりて玉をとる人あり。是よく玉を知ればなり。宝の山に入りても、手を空しくして帰る人あり。是玉を知らざればなり。書を見る人、益あると益なきとも、亦かくのごとし。

書き下し

一よく書を見る人は、一句を見ても、其理を得て用ふれば、用をなして益あり。よく書を読まざる人は、千万巻のふみを読んでも、其よきことを取用ふることを知らず、益なし。たとへば、石をわりて玉をとる人あり。是よく玉を知ればなり。宝の山に入りても、手を空しくして帰る人あり。是玉を知らざればなり。書を見る人、益あると益なきとも、亦かくのごとし。

現代語訳

よく書を見る人は、一句を見ても、その理を会得して用いるので、役に立って益があります。よく書を読まない人は、千万巻の書を読んでも、そのよいところを取って用いることを知らず、益がありません。たとえば、石を割って玉を取る人がいます。これは玉をよく知っているからです。宝の山に入っても手を空しくして帰る人がいます。これは玉を知らないからです。書を見る人に益があるのとないのとも、またこのようなものです。

解説

読書の益は量ではなく読み方で決まり、よく読む人は一句からも理を得て用い、そうでない人は千万巻読んでも益がないと説きます。石を割って玉を取る人と、宝の山に入って手ぶらで帰る人の比喩が鮮やかです。宝の山の比喩は文訓上でも使われ、益軒が繰り返し強調した点でした。今の読書でも、冊数を競うより、一冊から一つでも生活や仕事に生かせる教えをつかむことが大切です。何が玉かを見分ける目を養うのが学問です。

この章句が説くこと

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