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初学訓 / 巻之三

一百行萬善、皆知あるより行はれ、愚なるよりすたる。この故に、知は人身の大寶なり、貴ぶべし。人たる者は、高きもいやしきも、若きも老いたるも、只、知を求むべし。知を求むるの術はいかんぞや、學問するに如くはなし。學問にあらざれば、知求むべきやうなし。

新字:一百行万善、皆知あるより行はれ、愚なるよりすたる。この故に、知は人身の大宝なり、貴ぶべし。人たる者は、高きもいやしきも、若きも老いたるも、只、知を求むべし。知を求むるの術はいかんぞや、学問するに如くはなし。学問にあらざれば、知求むべきやうなし。

書き下し

一百行万善、皆知あるより行はれ、愚なるよりすたる。この故に、知は人身の大宝なり、貴ぶべし。人たる者は、高きもいやしきも、若きも老いたるも、只、知を求むべし。知を求むるの術はいかんぞや、学問するに如くはなし。学問にあらざれば、知求むべきやうなし。

現代語訳

あらゆる行いや善は、みな知があることによって行われ、愚かさによってすたれます。このため、知は人の身の大きな宝であり、貴ぶべきです。人である者は、身分の高い低い、若い年老いたにかかわらず、ただ知を求めるべきです。知を求める方法はどうでしょうか。学問するに及ぶものはありません。学問によらなければ、知を求めるすべはありません。

解説

前の条を受けて、知を人の身の大宝とし、それを求める道は学問しかないと結論づけます。身分の上下も年齢も問わず知を求めよという言葉には、八十歳を過ぎてなお著作を続けた益軒自身の姿が重なります。益軒の本は、学者のための漢文ではなく、誰もが読める平易な和文で書かれました。知を一部の人のものにせず広く開こうとしたのです。学び直しや生涯学習が言われる今、何歳からでも学ぶことに価値があるという励ましとして読めます。

この章句が説くこと

知学問生涯学習宝益軒

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