文武訓 / 文訓下
一かたちうるはしく、ものよく言ひ、よききぬ著て賓客に對し、すがた言葉はすぐれて、人のもてなしよく、其ふるまひうるはしく、目たつきほどなれど、文字を知らず、古今の事にうとく、かたこと言ひて、人の耳にたてば、すがた言葉のうるはしきもむなしくなり、人に見おとされ、あさましく下ざまに見ゆるは口惜し。
新字:一かたちうるはしく、ものよく言ひ、よききぬ著て賓客に対し、すがた言葉はすぐれて、人のもてなしよく、其ふるまひうるはしく、目たつきほどなれど、文字を知らず、古今の事にうとく、かたこと言ひて、人の耳にたてば、すがた言葉のうるはしきもむなしくなり、人に見おとされ、あさましく下ざまに見ゆるは口惜し。
書き下し
一かたちうるはしく、ものよく言ひ、よききぬ著て賓客に対し、すがた言葉はすぐれて、人のもてなしよく、其ふるまひうるはしく、目たつきほどなれど、文字を知らず、古今の事にうとく、かたこと言ひて、人の耳にたてば、すがた言葉のうるはしきもむなしくなり、人に見おとされ、あさましく下ざまに見ゆるは口惜し。
現代語訳
容姿が美しく、弁舌も巧みで、よい衣を着て客人に応対し、姿も言葉もすぐれて、人のもてなしもよく、その振る舞いも美しく、目立つほどであっても、文字を知らず、古今のことにうとく、片言を言って人の耳にさわれば、姿や言葉の美しさもむなしくなり、人に見下され、情けなく下品に見えるのは残念なことです。
解説
容姿や振る舞いがどれほど立派でも、教養がなく言葉づかいに誤りがあれば、たちまち見下されて美点も空しくなると説いています。外見と内面の釣り合いを求める益軒の考えがよく表れています。文訓上之末でも、文字を知らなければ弁舌や容貌のよさもむなしくなると繰り返しました。今でも、身なりや話しぶりが洗練されていても、言葉の誤用や知識の浅さが露見すると信頼を失います。外見を整えるのと同じくらい、中身を養う努力が必要です。
この章句が説くこと
教養言葉外見品格学問
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