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文武訓 / 文訓上之末

一朝ゆふ古の書を見れば、わがともがら愚なる者も、かけまくもかしこきひじりの御をしへを、まのあたり受くるがごとく、次には、古のもろもろの賢者にまみゆるが如くにて、心より外に尊きまじらひかなと思ひ、わが身をかへりみれば、ひがごと多かりしありさまを、思ひ出づるもはづかし。

書き下し

一朝ゆふ古の書を見れば、わがともがら愚なる者も、かけまくもかしこきひじりの御をしへを、まのあたり受くるがごとく、次には、古のもろもろの賢者にまみゆるが如くにて、心より外に尊きまじらひかなと思ひ、わが身をかへりみれば、ひがごと多かりしありさまを、思ひ出づるもはづかし。

現代語訳

朝夕、古の書を読めば、我々のような愚かな者でも、口にするのも畏れ多い聖人のお教えを目の当たりに受けるようであり、次には昔のもろもろの賢者にお会いするようで、心の底から尊い交わりだと思います。そしてわが身を顧みれば、誤りの多かったありさまを思い出すのも恥ずかしいことです。

解説

朝夕古典を読むことは、聖人の教えを直接受け、昔の賢者に会うような尊い交わりだと述べ、同時に自分の過ちを省みて恥じる心が生まれると語ります。読書を人との出会いにたとえるのは益軒の好んだ考え方で、文訓の別の条でも、まだ読まない書を読むのは良い友に会うようだと言っています。今でも、古典を読むことは時代を超えた師との対話です。忙しい日々の中で朝夕わずかでも古典に触れる時間が、自分を省みる鏡になります。

この章句が説くこと

読書古典聖賢自省学問

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