文武訓 / 文訓上
必ず中夏の文字を用ふべし。博く書を讀みし人も、かねて中夏の文章を學ばざれば、時にのぞみ、筆をとりて文を作るべきすべを知らず。みだりに作れば法に合はず、文字の置きやうつゞけやう、布置成語連續助字の法を知らずして、ひが事多く、文字顚倒して置きやうちがひ、文理をなさず、識者の謗免れがたし。殊に中夏の人の見て、誹笑せんもはづかし。故に學士は、必ず文章を學ぶべし。是を學ぶの法、まづ六經語孟を本とし、左傳、史記、漢書、文選、韓柳歐蘇等の文を學ぶべし。其中について、心にかなへる文をえらびて、三十篇ばかりそらんじ、書きおぼえて熟誦すべし。如斯すれば、おのづから文法をさとり、文字の置きやうを知るべし。經史を見るいとまには、少の力を用ひて作文を學ぶべし。
新字:必ず中夏の文字を用ふべし。博く書を読みし人も、かねて中夏の文章を学ばざれば、時にのぞみ、筆をとりて文を作るべきすべを知らず。みだりに作れば法に合はず、文字の置きやうつゞけやう、布置成語連続助字の法を知らずして、ひが事多く、文字顛倒して置きやうちがひ、文理をなさず、識者の謗免れがたし。殊に中夏の人の見て、誹笑せんもはづかし。故に学士は、必ず文章を学ぶべし。是を学ぶの法、まづ六経語孟を本とし、左伝、史記、漢書、文選、韓柳欧蘇等の文を学ぶべし。其中について、心にかなへる文をえらびて、三十篇ばかりそらんじ、書きおぼえて熟誦すべし。如斯すれば、おのづから文法をさとり、文字の置きやうを知るべし。経史を見るいとまには、少の力を用ひて作文を学ぶべし。
書き下し
必ず中夏の文字を用ふべし。博く書を読みし人も、かねて中夏の文章を学ばざれば、時にのぞみ、筆をとりて文を作るべきすべを知らず。みだりに作れば法に合はず、文字の置きやうつづけやう、布置成語連続助字の法を知らずして、ひが事多く、文字顛倒して置きやうちがひ、文理をなさず、識者の謗免れがたし。殊に中夏の人の見て、誹笑せんもはづかし。故に学士は、必ず文章を学ぶべし。是を学ぶの法、まづ六経語孟を本とし、左伝、史記、漢書、文選、韓柳欧蘇等の文を学ぶべし。其中について、心にかなへる文をえらびて、三十篇ばかりそらんじ、書きおぼえて熟誦すべし。如斯すれば、おのづから文法をさとり、文字の置きやうを知るべし。経史を見るいとまには、少の力を用ひて作文を学ぶべし。
現代語訳
必ず中国の文字を用いるべきです。広く書を読んだ人でも、前もって中国の文章を学んでいなければ、その時になって筆をとり文を作るすべを知りません。みだりに作れば法に合わず、文字の置き方や続け方、配置・成語・連続・助字の法を知らないので、誤りが多く、文字をひっくり返して置き方を間違え、文章の筋が通らず、識者のそしりを免れません。とくに中国の人が見て笑うのも恥ずかしいことです。ですから学者は必ず文章を学ぶべきです。これを学ぶ方法は、まず六経と論語・孟子を本とし、左伝・史記・漢書・文選・韓愈・柳宗元・欧陽脩・蘇軾らの文を学ぶべきです。その中から、心にかなう文を選んで、三十篇ほど暗記し、書いて覚えて熟読すべきです。このようにすれば、自然に文法を悟り、文字の置き方を知るでしょう。経史を読む合間に、少しの力を用いて作文を学ぶべきです。
解説
この章句が説くこと
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人物志・體別夫れ學は材を成す所以なり、疏は情を推す所以なり。偏材の性は、移轉すべからず。
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論語・為政篇子曰く、異端を攻むるは、斯れ害のみ。
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説苑・建本子思曰わく、学は才を益す所以なり、礪は刃を致す所以なり。吾嘗て幽処して深く思うも、学の速やかなるに若かず。吾嘗て跂ちて望むも、高きに登りて博く見るに若かず。故に風に順いて呼べば、声疾しきを加えざれども聞く者衆し。丘に登りて招けば、臂長きを加えざれども見る者遠し。故に魚は水に乗り、鳥は風に乗り、草木は時に乗る。
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