武訓 / 下・第29段
左傳に、晉の隨武子が曰、見可而進、知難而退、軍之善政也。凡、兵を用ふるに、進も退も度あり。度を失へばやぶる。進むべからずして進み、進くべからずして退くは、度を失ふなり。進むべくして進まず、退くべくして退かず。是亦、度をうしなふなり。
新字:左伝に、晋の随武子が曰、見可而進、知難而退、軍之善政也。凡、兵を用ふるに、進も退も度あり。度を失へばやぶる。進むべからずして進み、進くべからずして退くは、度を失ふなり。進むべくして進まず、退くべくして退かず。是亦、度をうしなふなり。
書き下し
左傳に、晉の隨武子が曰、見可而進、知難而退、軍之善政也。凡、兵を用ふるに、進も退も度あり。度を失へばやぶる。進むべからずして進み、進くべからずして退くは、度を失ふなり。進むべくして進まず、退くべくして退かず。是亦、度をうしなふなり。
現代語訳
左伝に、晋の随武子が言う、「可を見て進み、難を知って退くは、軍の善政なり」と。およそ兵を用いるには、進むにも退くにも度がある。度を失えば敗れる。進むべきでないのに進み、退くべきでないのに退くのは、度を失うことである。進むべきなのに進まず、退くべきなのに退かない。これもまた度を失うことである。
解説
左伝の随武子の言葉を引いて、進退の「度」を説く段です。可を見て進み、難を知って退くのが軍の善政だとされ、進むべきでないのに進む、退くべきでないのに退く、進むべきなのに進まない、退くべきなのに退かないという四つの誤りを、すべて度を失うことと並べています。本文では、四つのうち前の二つと後の二つが対になっていることが分かります。進める時機と引く時機を見分ける判断は、投資や撤退を迫られる経営の場面そのものです。前に出ることだけでなく、退くべきときに退く決断も、同じ重さで評価されるべきだと読めます。
この章句が説くこと
進退度左伝判断撤退武訓
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