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武訓 / 下・第8段

天下太平なれども、武をわするればあやふし。故に、治世にも、武を忘れず、武事をまなぶべし。無事なる時、武をならはゞ、後悔なかるべし。遠き慮なければ、必、近きうれへあり。亂にのぞみて兵をならふは、渇にのぞんで井をほるがごとし。

新字:天下太平なれども、武をわするればあやふし。故に、治世にも、武を忘れず、武事をまなぶべし。無事なる時、武をならはゞ、後悔なかるべし。遠き慮なければ、必、近きうれへあり。乱にのぞみて兵をならふは、渇にのぞんで井をほるがごとし。

書き下し

天下太平なれども、武をわするればあやふし。故に、治世にも、武を忘れず、武事をまなぶべし。無事なる時、武をならはゞ、後悔なかるべし。遠き慮なければ、必、近きうれへあり。亂にのぞみて兵をならふは、渇にのぞんで井をほるがごとし。

現代語訳

天下が太平であっても、武を忘れれば危ういのです。だから、治世にも武を忘れず、武事を学ぶべきです。無事なときに武をならっておけば、後悔はないでしょう。遠い先の思慮がなければ、必ず近い憂いがあります。乱に臨んで兵を習うのは、渇してから井戸を掘るようなものです。

解説

平時の備えを説く、短く力強い段です。天下が太平でも武を忘れれば危うく、無事な時に学んでおけば後悔しないと、益軒は言います。「遠き慮なければ必ず近き憂いあり」は論語の言葉で、本文の中で用いられています。乱になってから兵を習うのは、渇いてから井戸を掘るのと同じだとする例えも分かりやすいものです。仕事に置き換えれば、トラブルが起きてから対応手順を考えたり、人材が必要になってから育成を始めたりすることがそれにあたります。業績が安定している時期こそ、備えに時間を使えるかが問われます。

この章句が説くこと

備え平時遠き慮渇して井を掘る危機管理武訓

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