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武家小学 / 和解の由来

郷者に素行軒山鹿先生武敎小學を著して、武敎の垂戒既に明也、然ども後生其門に入て學ざれば書を得て敎を受るに由なし、今也予武敎小學の旨趣を國字になして童蒙の見に便あらしむ、仍て武家小學と題す、聊武家蒙求の一助とならん事を希のみ、然れども予素より不學の身なれば、爭か先師の至意を爰に全く述る事を得ん哉、只鄙情得る所直ちに是を述るのみ、讀者其詞の陋を以て誹て弃る事なかれと、爾云、文政己卯春 後學 高林(高階)政明謹識

新字:郷者に素行軒山鹿先生武教小学を著して、武教の垂戒既に明也、然ども後生其門に入て学ざれば書を得て教を受るに由なし、今也予武教小学の旨趣を国字になして童蒙の見に便あらしむ、仍て武家小学と題す、聊武家蒙求の一助とならん事を希のみ、然れども予素より不学の身なれば、争か先師の至意を爰に全く述る事を得ん哉、只鄙情得る所直ちに是を述るのみ、読者其詞の陋を以て誹て弃る事なかれと、爾云、文政己卯春 後学 高林(高階)政明謹識

書き下し

郷者に素行軒山鹿先生武敎小學を著して、武敎の垂戒既に明也、然ども後生其門に入て學ざれば書を得て敎を受るに由なし、今也予武敎小學の旨趣を國字になして童蒙の見に便あらしむ、仍て武家小學と題す、聊武家蒙求の一助とならん事を希のみ、然れども予素より不學の身なれば、爭か先師の至意を爰に全く述る事を得ん哉、只鄙情得る所直ちに是を述るのみ、讀者其詞の陋を以て誹て弃る事なかれと、爾云、文政己卯春 後學 高林(高階)政明謹識

現代語訳

以前、素行軒山鹿先生が『武教小学』を著され、武の教えと戒めはすでに明らかになっています。しかし後の世の者は、その門に入って学ばなければ、書を手に入れても教えを受ける手立てがありません。そこで私は『武教小学』の趣旨を和文にして、子どもや初学者が見やすいようにし、『武家小学』と名づけました。いささか武家の入門書の助けになればと願うばかりです。とはいえ私はもともと学のない身ですから、どうして先師の深い思いをここに述べ尽くせましょう。ただ、浅い私見で得たところをそのまま述べるだけです。読者の方々は、その言葉の拙さを理由にそしって捨てないでください、と申します。文政己卯の春、後学の高林政明が謹んで記しました。

解説

高林政明が、山鹿素行の『武教小学』を子どもにも読める和文に改めた事情を述べた序です。泰平の世が続いた文政の頃、武士の心得を日常の言葉で伝える必要が高まっていたと考えられます。著者は自分を不学と称し、拙さへの批判を先に断っています。現代の組織でも、理念や方針は専門用語のまま置けば浸透しません。上に立つ者が自分の言葉に直して届ける工夫を怠らないこと、そして謙虚さを持ちつつ発信を止めないことが、この序から学べる姿勢です。

この章句が説くこと

和解武教小学山鹿素行入門平易な言葉謙虚

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