武家家訓集 / 北条早雲廿一箇条第18条
一すきありて宿に歸らば、廐面よりうらへまはり、四壁垣ね犬のくゞり所をふさぎ捺さすべし、下女つたなきものは軒を拔て焼、當座の事をあがなひ、後の事をしらず、萬事かくのごとく有べきと深く心得べし、
新字:一すきありて宿に帰らば、厩面よりうらへまはり、四壁垣ね犬のくゞり所をふさぎ捺さすべし、下女つたなきものは軒を抜て焼、当座の事をあがなひ、後の事をしらず、万事かくのごとく有べきと深く心得べし、
書き下し
一すきありて宿に歸らば、廐面よりうらへまはり、四壁垣ね犬のくゞり所をふさぎ捺さすべし、下女つたなきものは軒を拔て焼、當座の事をあがなひ、後の事をしらず、萬事かくのごとく有べきと深く心得べし、
現代語訳
暇があって宿に帰ったなら、厩のあたりから裏へ回り、四方の壁や垣根、犬のくぐり穴をふさいで固めよ。下女やだらしない者は軒の板を抜いて燃やし、その場の用を済ませて後のことを考えない。万事そのようであろうと深く心得ておくべきである。
解説
暇ができて宿所に戻ったとき、厩から裏手へ回り、壁や垣根、犬のくぐり穴まで点検してふさげという条です。続けて、下女や不心得な者は目先の用を足すために軒の板まで抜いて燃やし、後のことを考えないと述べ、万事そうなりがちだと心得よと戒めます。家の傷みは目に見えにくい端から進み、人は当座をしのぐことに流れやすい、という見方です。組織に置き換えると、現場の小さな綻びや、その場しのぎの運用が積もって大きな損失になることにあたります。管理職には、定期的に自分の足で裏側まで見回ることが求められます。
この章句が説くこと
点検現場確認綻び場当たり対応予防武家家訓集
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