武家家訓集 / 朝倉敏景十七箇条第四条
一名作の刀脇指等さのみ被好間敷候、其故は假令萬疋太刀刀を持たりとも、百疋鑓百丁には勝れ間敷候、然れば萬疋を以百疋の鑓を百丁求め、百人に被持候はゞ、一方は可相防事、
新字:一名作の刀脇指等さのみ被好間敷候、其故は仮令万疋太刀刀を持たりとも、百疋鑓百丁には勝れ間敷候、然れば万疋を以百疋の鑓を百丁求め、百人に被持候はゞ、一方は可相防事、
書き下し
一、名作の刀脇指等、さのみ好まるまじく候。其の故は、假令萬疋の太刀刀を持ちたりとも、百疋の鑓百丁には勝れまじく候。然れば萬疋を以て百疋の鑓を百丁求め、百人に持たれ候はば、一方は相防ぐべき事、
現代語訳
名作の刀や脇差などを、あまり好んではならない。その理由は、たとえ万疋もする太刀や刀を持っていても、百疋の槍百本には勝てないからである。それならば万疋で百疋の槍を百本求め、百人に持たせれば、一方面は防ぐことができる。
解説
第四条は、高価な名刀より、安価な槍を数でそろえるほうが役に立つと説く、実利の条です。万疋の太刀一振り分の金で百疋の槍が百本買え、百人に持たせれば「一方」、つまり一つの方面は防げる、という計算で示しています。名刀を愛でる趣味より、集団として戦力を整えることを優先せよという筋です。疋は金銭の額を言う語で、数字は例えとして読むのがよいでしょう。現代の組織では、一人の看板人材や高額な設備に予算を集中させるより、全体の底上げに配分するほうが成果が出る場面があります。投資の対象が見栄か戦力かを問い直す条です。
この章句が説くこと
費用対効果倹約戦力の底上げ投資配分名刀武家家訓集
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