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武家須知 / 武で取っても、治めるのは文

ある人いはく、國郡主、その先祖武功にて、國郡主となり玉ふゆへ、治めるも武をおもにすべしと、此說あやまれり、武にて取たるとて、武にて治むべきといふは、たとへば、金銀にて田畑を買取たる人が、金銀あればこそ此田畑の主となりたれとて、田畑作る道具はこしらへずして、只彌金銀を貴むが如し、武にてとりても、治るは文なるべし、

新字:ある人いはく、国郡主、その先祖武功にて、国郡主となり玉ふゆへ、治めるも武をおもにすべしと、此説あやまれり、武にて取たるとて、武にて治むべきといふは、たとへば、金銀にて田畑を買取たる人が、金銀あればこそ此田畑の主となりたれとて、田畑作る道具はこしらへずして、只弥金銀を貴むが如し、武にてとりても、治るは文なるべし、

書き下し

ある人いはく、國郡主、その先祖武功にて、國郡主となり玉ふゆへ、治めるも武をおもにすべしと、此說あやまれり、武にて取たるとて、武にて治むべきといふは、たとへば、金銀にて田畑を買取たる人が、金銀あればこそ此田畑の主となりたれとて、田畑作る道具はこしらへずして、只彌金銀を貴むが如し、武にてとりても、治るは文なるべし、

現代語訳

ある人が言うには、国郡主は、その先祖が武功によって国郡主となられたのだから、治めるのも武を主とするべきだと。この説は誤りです。武で取ったからといって武で治めるべきだというのは、たとえば、金銀で田畑を買い取った人が、金銀があればこそこの田畑の主となったのだと言って、田畑を作る道具は用意せず、ただますます金銀を貴ぶようなものです。武で取っても、治めるのは文であるべきです。

解説

国を手に入れた手段と、治める手段は別だという論です。田畑を買った人が、耕す道具を用意せず金銀ばかり貴ぶという例えが、そのことを分かりやすく示しています。現代の管理職にも、営業で成果を上げて昇進したのだから、今後も同じ手法で組織を動かせるはずだと考えてしまう落とし穴があります。成功を生んだ方法と、組織を維持し育てる方法は、必ずしも同じではありません。昇進後に自分が身につけ直すべき力は何かを、一度整理してみる機会にしてください。

この章句が説くこと

武家須知蟹養斎文武国郡主治める

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