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武事提要 / 武敎之問答・格の高い場で認められる名将の証拠

答云、天下を領する大將の弓矢の格を證據とするなり、其次は名將良將、其次は大塲の弓矢なり、古も楠正成は天子より勅を蒙て武威を振ひ、其功其名帝都に流布せり、武田信玄は甲州に住居すといへども世に名ある武將と合戰數度及ぶ、依之其功東海道に滿々たり、木曾義仲、柴田勝家、其勇猛比類すべきなしといへども、其習し邊鄙山中の俗にして其威風專賤し、故に世以て是を奔走せず、是其證據なり、況や小身一己の者邊鄙遠境の勤有之とも何ぞ用之や、十九問云、聖賢の上にも土地の撰有之て修するや、

新字:答云、天下を領する大将の弓矢の格を証拠とするなり、其次は名将良将、其次は大塲の弓矢なり、古も楠正成は天子より勅を蒙て武威を振ひ、其功其名帝都に流布せり、武田信玄は甲州に住居すといへども世に名ある武将と合戦数度及ぶ、依之其功東海道に満々たり、木曽義仲、柴田勝家、其勇猛比類すべきなしといへども、其習し辺鄙山中の俗にして其威風専賤し、故に世以て是を奔走せず、是其証拠なり、況や小身一己の者辺鄙遠境の勤有之とも何ぞ用之や、十九問云、聖賢の上にも土地の撰有之て修するや、

書き下し

答云、天下を領する大將の弓矢の格を證據とするなり、其次は名將良將、其次は大塲の弓矢なり、古も楠正成は天子より勅を蒙て武威を振ひ、其功其名帝都に流布せり、武田信玄は甲州に住居すといへども世に名ある武將と合戰數度及ぶ、依之其功東海道に滿々たり、木曾義仲、柴田勝家、其勇猛比類すべきなしといへども、其習し邊鄙山中の俗にして其威風專賤し、故に世以て是を奔走せず、是其證據なり、況や小身一己の者邊鄙遠境の勤有之とも何ぞ用之や、十九問云、聖賢の上にも土地の撰有之て修するや、

現代語訳

答えて言います。天下を領する大将の弓矢の格を証拠とします。その次は名将・良将、その次は大場の弓矢です。昔も、楠正成は天子から勅を受けて武威を振るい、その功、その名が帝都に広まりました。武田信玄は甲州に住居していましたが、世に名のある武将と数度合戦に及び、このためその功が東海道に満ちました。木曾義仲、柴田勝家は、その勇猛が比類ないといっても、その習いが辺鄙な山中の俗であり、その威風はもっぱら賤しいものでした。そのため、世はこれを奔走して用いませんでした。これがその証拠です。まして小身で一人きりの者が、辺鄙な遠境の勤めがあるといっても、どうしてこれを用いるでしょうか。十九の問い。聖賢の上にも、土地を選んで修めることがあるのですか。

解説

証拠として、天下を領する大将の格、名将・良将、大場の弓矢という順に重みを示し、楠正成や武田信玄の名が広まった例を挙げます。木曾義仲や柴田勝家は勇猛でも、辺鄙な習いで威風が賤しかったと評します。この評価は原文の見方であり、歴史的な事実の判断は別に確かめる必要があります。現代の管理職にとっては、実績に加えて、どのような場で、どのような相手と、どのような作法で成果を出したかが信用を左右する、と読むことができます。
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この章句が説くこと

『武事提要』山鹿高恒楠正成武田信玄名将格

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