武事提要 / 練武之大意・大軍を率いる第一の要は人を知り選ぶこと
大軍を引卒するの大意三の采幣也、山本氏より信玄へ密傳ありし三の采幣是也、第一人を知也、人に善惡眞草あり、人に多少都鄙あり、內外親疎あり、天下に天下の人あり、國に國の人あり、郡に郡の人あり、家に家の人あり、土地に遠近大小あり、天下國郡家によつて、人あり物あり、人物によつて其定則あり、人に輕重あり、老若あり、知愚あり、人の重は人長を云、(頭奉行之事也)輕は平士を云、人長として善惡を不辨は人長にあらず、人長としては必ず平士の上を試置を平世の役とする也、人を知は人を撰也、知撰と云は、人長に可然人を知て人を撰で可成人を申付る、是弓矢の上の大曲尺にして先勝の始也、
新字:大軍を引卒するの大意三の采幣也、山本氏より信玄へ密伝ありし三の采幣是也、第一人を知也、人に善悪真草あり、人に多少都鄙あり、内外親疎あり、天下に天下の人あり、国に国の人あり、郡に郡の人あり、家に家の人あり、土地に遠近大小あり、天下国郡家によつて、人あり物あり、人物によつて其定則あり、人に軽重あり、老若あり、知愚あり、人の重は人長を云、(頭奉行之事也)軽は平士を云、人長として善悪を不弁は人長にあらず、人長としては必ず平士の上を試置を平世の役とする也、人を知は人を撰也、知撰と云は、人長に可然人を知て人を撰で可成人を申付る、是弓矢の上の大曲尺にして先勝の始也、
書き下し
大軍を引卒するの大意三の采幣也、山本氏より信玄へ密傳ありし三の采幣是也、第一人を知也、人に善惡眞草あり、人に多少都鄙あり、內外親疎あり、天下に天下の人あり、國に國の人あり、郡に郡の人あり、家に家の人あり、土地に遠近大小あり、天下國郡家によつて、人あり物あり、人物によつて其定則あり、人に輕重あり、老若あり、知愚あり、人の重は人長を云、(頭奉行之事也)輕は平士を云、人長として善惡を不辨は人長にあらず、人長としては必ず平士の上を試置を平世の役とする也、人を知は人を撰也、知撰と云は、人長に可然人を知て人を撰で可成人を申付る、是弓矢の上の大曲尺にして先勝の始也、
現代語訳
大軍を引き連れる大意は、三つの采幣(要)です。山本氏から信玄へ密かに伝えられた三の采幣がこれです。第一は人を知ることです。人には善悪・真草(正式と略式)があり、人には多少・都鄙があり、内外・親疎があります。天下には天下の人があり、国には国の人があり、郡には郡の人があり、家には家の人があります。土地には遠近・大小があります。天下・国・郡・家によって人があり物があり、人と物によってその定めがあります。人には軽重・老若・知愚があります。人の重とは人長をいい(頭奉行のことです)、軽とは平士をいいます。人長でありながら善悪を弁えないのは、人長ではありません。人長としては、必ず平士の人柄を試しておくのを平世の役とします。人を知ることは人を選ぶことです。知選というのは、人長にふさわしい人を知って人を選び、なるべき人に申し付けることです。これは弓矢の上の大曲尺(ものさし)で、まず勝つことの始めです。
解説

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