武事提要 / 敎習之大本・教習の三本は内を治め外を知り変に備える
謀署の二字を敎事は外にかゝわらずして先內を治るを云なり、弓矢の上は敵より先味方を能下知するを始とする也、是を敎習第一の大本とす、其敎其形其事は爰不記之、知署の二字を以て外を知の敵にして、身能治り味方事調たる上にては我に相向其人其物其事を能知て宜を考、其人物事によつて其事をなすを云、弓矢の上にては敵を知て其敵の眞草に從て事を計るを云、是を敎習第二之大本とす、是又其敎法は爰署之、計策の二字を以て變に應じて易勝をはかるを云、內を能治外を能知といへども、不思寄事出ては、必敗北の始となる、依之相向所の變を悉考、味方の上の變を考へ、其外天變地變を計て不滯不蹉くする也、弓矢の上にては敵にはかられず、敵を計、我計に敵をかくるを云、武家に人を置、武器を飾り、變の事に手をつかざるは武の上にて始とする也、是を敎習第三の大本とする也、敎習之三本△可勝之要――謀署は治內 知署は知外 計策は勝變
新字:謀署の二字を教事は外にかゝわらずして先内を治るを云なり、弓矢の上は敵より先味方を能下知するを始とする也、是を教習第一の大本とす、其教其形其事は爰不記之、知署の二字を以て外を知の敵にして、身能治り味方事調たる上にては我に相向其人其物其事を能知て宜を考、其人物事によつて其事をなすを云、弓矢の上にては敵を知て其敵の真草に従て事を計るを云、是を教習第二之大本とす、是又其教法は爰署之、計策の二字を以て変に応じて易勝をはかるを云、内を能治外を能知といへども、不思寄事出ては、必敗北の始となる、依之相向所の変を悉考、味方の上の変を考へ、其外天変地変を計て不滞不蹉くする也、弓矢の上にては敵にはかられず、敵を計、我計に敵をかくるを云、武家に人を置、武器を飾り、変の事に手をつかざるは武の上にて始とする也、是を教習第三の大本とする也、教習之三本△可勝之要――謀署は治内 知署は知外 計策は勝変
書き下し
謀署の二字を敎事は外にかゝわらずして先內を治るを云なり、弓矢の上は敵より先味方を能下知するを始とする也、是を敎習第一の大本とす、其敎其形其事は爰不記之、知署の二字を以て外を知の敵にして、身能治り味方事調たる上にては我に相向其人其物其事を能知て宜を考、其人物事によつて其事をなすを云、弓矢の上にては敵を知て其敵の眞草に從て事を計るを云、是を敎習第二之大本とす、是又其敎法は爰署之、計策の二字を以て變に應じて易勝をはかるを云、內を能治外を能知といへども、不思寄事出ては、必敗北の始となる、依之相向所の變を悉考、味方の上の變を考へ、其外天變地變を計て不滯不蹉くする也、弓矢の上にては敵にはかられず、敵を計、我計に敵をかくるを云、武家に人を置、武器を飾り、變の事に手をつかざるは武の上にて始とする也、是を敎習第三の大本とする也、敎習之三本△可勝之要――謀署は治內 知署は知外 計策は勝變
現代語訳
謀署の二字を教えるとは、外にかかわらず、まず内を治めることをいいます。弓矢の上では、敵よりも先に味方をよく指図するのを始めとします。これを教習第一の大本とします。その教え・形・事はここには記しません。知署の二字は、外を知ることを敵を知ることとし、自分がよく治まり味方の事が整った上で、自分に相対するその人・その物・その事をよく知って、ふさわしい対応を考え、その人・物・事によってその事を行うことをいいます。弓矢の上では、敵を知り、その敵の真草(正式と略式)に従って事を計ることをいいます。これを教習第二の大本とします。これもその教法はここでは省きます。計策の二字は、変に応じて容易に勝つことを計ることをいいます。内をよく治め外をよく知っていても、思いもよらないことが起きれば、必ず敗北の始まりとなります。そのため、相対するところの変をことごとく考え、味方の上の変を考え、そのほか天変地変を計って、滞らず、つまずかないようにするのです。弓矢の上では、敵に計られず、敵を計り、自分の計略に敵をかけることをいいます。武家に人を置き、武器を飾り、変事のときに手をつかない(うろたえない)のは、武の上での始まりです。これを教習第三の大本とします。教習の三本、勝つべき要(まとめ)。謀署は内を治め、知署は外を知り、計策は変に勝つ。
解説

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