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武事提要 / 提要・武事提要の六項目と練武の三要

一武敎之本源士は三民の長たるを以て武士と云、依之其言行不宜則三民却て賊となる、故に士の敎を本として、四民共に長久ならしむる也、其四民を治を武將と云也、一流儀之傳來當流を山本勘介流と號し、武たるの上に傳受を立世に用之事、極意必勝の實ある故なり、其傳來の次第は鈴木日向、山本勘介、早川彌三左衞門、尾畑勘兵衞、北條安房守、山鹿甚五左衞門、如此段々傳之來也、一武家之法式法は正を以て初とし、勝を以て終とす、神君軍戰の上にて法を被爲立にも、其本有之事也、一爲將之本意將の本意と云は、兵は國の大事たるを知るにあり、次に將は衆人の的當にして、一身の明正を立るを意とし、仁を始中終守て、義を以て戒たらしむると也、一敎習之大本謀署、智略、計策を兵學の三本として、內外變を治る、隨應する事を敎ゆる也、一練武之大意弓矢の上にては士卒强盛たらしむるを修行とするなり、其人數將の下知に順靡を本とするなり、其士卒順靡事其要三にあらざれば不調なり、第一は人を知て其役の可相勤人品を申付るなり、第二には常に善を賞し惡を懲を以て、上下の善惡明白になる、明白なれば士卒不疑して其氣すゝむなり、第三常の事にも士卒の上を練習して家の風儀習となるがごとくして、備立行列共に手間を不取を云なり、是を三の采幣と云傳、山本氏信玄へ密傳ありしも是なり、此傳を練武の大意とは云と也、一武敎之問答武の上に敎あると、品々の問、品々の答あり、是をよく會得すれば、武の上は此敎に止て外に有之べからざるを知り、武の敎意味の深重なる事を辨知也、故に廿一問を爰に出す也、

新字:一武教之本源士は三民の長たるを以て武士と云、依之其言行不宜則三民却て賊となる、故に士の教を本として、四民共に長久ならしむる也、其四民を治を武将と云也、一流儀之伝来当流を山本勘介流と号し、武たるの上に伝受を立世に用之事、極意必勝の実ある故なり、其伝来の次第は鈴木日向、山本勘介、早川弥三左衛門、尾畑勘兵衛、北条安房守、山鹿甚五左衛門、如此段々伝之来也、一武家之法式法は正を以て初とし、勝を以て終とす、神君軍戦の上にて法を被為立にも、其本有之事也、一為将之本意将の本意と云は、兵は国の大事たるを知るにあり、次に将は衆人の的当にして、一身の明正を立るを意とし、仁を始中終守て、義を以て戒たらしむると也、一教習之大本謀署、智略、計策を兵学の三本として、内外変を治る、随応する事を教ゆる也、一練武之大意弓矢の上にては士卒強盛たらしむるを修行とするなり、其人数将の下知に順靡を本とするなり、其士卒順靡事其要三にあらざれば不調なり、第一は人を知て其役の可相勤人品を申付るなり、第二には常に善を賞し悪を懲を以て、上下の善悪明白になる、明白なれば士卒不疑して其気すゝむなり、第三常の事にも士卒の上を練習して家の風儀習となるがごとくして、備立行列共に手間を不取を云なり、是を三の采幣と云伝、山本氏信玄へ密伝ありしも是なり、此伝を練武の大意とは云と也、一武教之問答武の上に教あると、品々の問、品々の答あり、是をよく会得すれば、武の上は此教に止て外に有之べからざるを知り、武の教意味の深重なる事を弁知也、故に廿一問を爰に出す也、

書き下し

一武敎之本源士は三民の長たるを以て武士と云、依之其言行不宜則三民却て賊となる、故に士の敎を本として、四民共に長久ならしむる也、其四民を治を武將と云也、一流儀之傳來當流を山本勘介流と號し、武たるの上に傳受を立世に用之事、極意必勝の實ある故なり、其傳來の次第は鈴木日向、山本勘介、早川彌三左衞門、尾畑勘兵衞、北條安房守、山鹿甚五左衞門、如此段々傳之來也、一武家之法式法は正を以て初とし、勝を以て終とす、神君軍戰の上にて法を被爲立にも、其本有之事也、一爲將之本意將の本意と云は、兵は國の大事たるを知るにあり、次に將は衆人の的當にして、一身の明正を立るを意とし、仁を始中終守て、義を以て戒たらしむると也、一敎習之大本謀署、智略、計策を兵學の三本として、內外變を治る、隨應する事を敎ゆる也、一練武之大意弓矢の上にては士卒强盛たらしむるを修行とするなり、其人數將の下知に順靡を本とするなり、其士卒順靡事其要三にあらざれば不調なり、第一は人を知て其役の可相勤人品を申付るなり、第二には常に善を賞し惡を懲を以て、上下の善惡明白になる、明白なれば士卒不疑して其氣すゝむなり、第三常の事にも士卒の上を練習して家の風儀習となるがごとくして、備立行列共に手間を不取を云なり、是を三の采幣と云傳、山本氏信玄へ密傳ありしも是なり、此傳を練武の大意とは云と也、一武敎之問答武の上に敎あると、品々の問、品々の答あり、是をよく會得すれば、武の上は此敎に止て外に有之べからざるを知り、武の敎意味の深重なる事を辨知也、故に廿一問を爰に出す也、

現代語訳

一つ、武教の本源。士は三民の長であるので武士といいます。そのため、その言行がよくなければ三民はかえって賊となります。ゆえに士の教えを本として、四民ともに長久ならしめるのです。その四民を治める者を武将といいます。一つ、流儀の伝来。当流を山本勘介流と号し、武であるうえに伝受を立て、世に用いるのは、極意必勝の実があるからです。その伝来の次第は、鈴木日向、山本勘介、早川弥三左衛門、尾畑勘兵衛、北条安房守、山鹿甚五左衛門と、このように段々と伝え来たものです。一つ、武家の法式。法は正をもって初めとし、勝をもって終わりとします。神君(徳川家康)が軍戦のうえで法をお立てになるにも、その本があったことです。一つ、為将の本意。将の本意とは、兵は国の大事であると知ることにあります。次に、将は衆人の的当(目標)であって、一身の明正を立てることを意とし、仁を始中終守り、義をもって戒めとするということです。一つ、教習の大本。謀署・智略・計策を兵学の三本として、内外の変を治め、随い応ずることを教えるのです。一つ、練武の大意。弓矢のうえでは、士卒を強盛にすることを修行とします。その人数が将の下知に順い靡くことを本とします。その士卒が順い靡くことは、その要が三つでなければ整いません。第一は、人を知って、その役を勤められる人品に申し付けることです。第二には、常に善を賞し悪を懲らすことで、上下の善悪が明白になります。明白であれば士卒は疑わず、その気が進むのです。第三は、日常のことにも士卒の身の上を練習し、家の風儀が習いとなるようにして、備立・行列とも手間を取らないことをいいます。これを三の采幣と称して伝え、山本氏が信玄へ密伝したのもこれです。この伝を練武の大意というのです。一つ、武教の問答。武のうえに教えがあるということと、さまざまな問い、さまざまな答えがあります。これをよく会得すれば、武のうえはこの教えに尽きて外にないと知り、武の教えの意味が深く重いことを弁え知ります。ゆえに二十一問をここに出します。

解説

全体の目次にあたる項目で、武教の本源、流儀の伝来、武家の法式、為将の本意、教習の大本、練武の大意、問答の六つの柱が示されます。特に練武の大意では、適材を役に就ける、善を賞し悪を懲らす、日常から訓練して手間取らないようにする、の三点が要とされます。現代の組織でも、適材適所、公正な評価、日ごろの訓練はそのまま通用します。まず全体の構成を示し、要点を三つに絞って伝える点は、部下への説明の型としても参考になります。
『人生の方程式』の表紙

人生を、一行の式にしてみた。

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この章句が説くこと

『武事提要』山鹿高恒三の采幣適材適所賞罰練武

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