武道便蒙録 / 卷之二・君と民は支え合う・倹約と大将の三つの采配
○書曰、帝曰、可愛非君、可畏非民、衆非元后何戴、后非衆罔與守邦、欽哉、愼爾有位、敬修其可願、四海困窮、天祿永終、いふ心は、帝は舜なり、禹につげ玉ひたる語なり、元后は君なり、有位は、君の居る所の位なり、君の職分なり、可願とは、善事をいふなり、善事は、人々願ひ欲すべきことなればなり、天祿は、天子の天下を有つは、天の與へたる祿なり、此の段の意は、民の愛敬すべきものは君なり、君の畏るべきものは民なり、衆民は君より外に首に戴くものはなし、故に君をば愛敬すべきことなり、君は衆民に非れば、ともに國を守るべきものなし、君虐政あり、衆民畔時は國を守ることならず、故に畏るべし、故に爾の居る位の職分を愼みて、大事に善事を修行せよ、四海の民困窮すれば、上を怨みてそむくゆへ、君天祿を有つことあたはず、天祿一たび絶て永〻つぐことあたはず、故に深く畏れ愼むべきことなり、○太甲曰、愼乃儉德、惟懷永圖、いふ意は伊尹の太甲につげたる語なり、人君驕奢ありて臣民を恤まず、自分の歡樂逸遊に費用多き時は、國貧しく、國用足らず、末つゞかずして、國危くなるゆへ、儉約の德を愼み守りて、永久を圖ることを懷へりとなり、○軍家者流に、大將三ッの采配と云ふことあり、是を以て法令の肝要とせり。第一に、能人を知る事、人を能見しり、それ〱のかしこき所を、はかり知て、諸役を可申付事、第二に、賞罰を明らにする事、善をすゝめ、惡をこらすは、將の用也、故に常〻勇士譽の批判能して、賞功に其輕重を不可亂事、第三に、常に兵法を習はす事、
新字:○書曰、帝曰、可愛非君、可畏非民、衆非元后何戴、后非衆罔与守邦、欽哉、慎爾有位、敬修其可願、四海困窮、天禄永終、いふ心は、帝は舜なり、禹につげ玉ひたる語なり、元后は君なり、有位は、君の居る所の位なり、君の職分なり、可願とは、善事をいふなり、善事は、人々願ひ欲すべきことなればなり、天禄は、天子の天下を有つは、天の与へたる禄なり、此の段の意は、民の愛敬すべきものは君なり、君の畏るべきものは民なり、衆民は君より外に首に戴くものはなし、故に君をば愛敬すべきことなり、君は衆民に非れば、ともに国を守るべきものなし、君虐政あり、衆民畔時は国を守ることならず、故に畏るべし、故に爾の居る位の職分を慎みて、大事に善事を修行せよ、四海の民困窮すれば、上を怨みてそむくゆへ、君天禄を有つことあたはず、天禄一たび絶て永〻つぐことあたはず、故に深く畏れ慎むべきことなり、○太甲曰、慎乃倹徳、惟懐永図、いふ意は伊尹の太甲につげたる語なり、人君驕奢ありて臣民を恤まず、自分の歓楽逸遊に費用多き時は、国貧しく、国用足らず、末つゞかずして、国危くなるゆへ、倹約の徳を慎み守りて、永久を図ることを懐へりとなり、○軍家者流に、大将三ッの采配と云ふことあり、是を以て法令の肝要とせり。第一に、能人を知る事、人を能見しり、それ〱のかしこき所を、はかり知て、諸役を可申付事、第二に、賞罰を明らにする事、善をすゝめ、悪をこらすは、将の用也、故に常〻勇士誉の批判能して、賞功に其軽重を不可乱事、第三に、常に兵法を習はす事、
書き下し
○書曰、帝曰、可愛非君、可畏非民、衆非元后何戴、后非衆罔與守邦、欽哉、愼爾有位、敬修其可願、四海困窮、天祿永終、いふ心は、帝は舜なり、禹につげ玉ひたる語なり、元后は君なり、有位は、君の居る所の位なり、君の職分なり、可願とは、善事をいふなり、善事は、人々願ひ欲すべきことなればなり、天祿は、天子の天下を有つは、天の與へたる祿なり、此の段の意は、民の愛敬すべきものは君なり、君の畏るべきものは民なり、衆民は君より外に首に戴くものはなし、故に君をば愛敬すべきことなり、君は衆民に非れば、ともに國を守るべきものなし、君虐政あり、衆民畔時は國を守ることならず、故に畏るべし、故に爾の居る位の職分を愼みて、大事に善事を修行せよ、四海の民困窮すれば、上を怨みてそむくゆへ、君天祿を有つことあたはず、天祿一たび絶て永〻つぐことあたはず、故に深く畏れ愼むべきことなり、○太甲曰、愼乃儉德、惟懷永圖、いふ意は伊尹の太甲につげたる語なり、人君驕奢ありて臣民を恤まず、自分の歡樂逸遊に費用多き時は、國貧しく、國用足らず、末つゞかずして、國危くなるゆへ、儉約の德を愼み守りて、永久を圖ることを懷へりとなり、○軍家者流に、大將三ッの采配と云ふことあり、是を以て法令の肝要とせり。第一に、能人を知る事、人を能見しり、それ〱のかしこき所を、はかり知て、諸役を可申付事、第二に、賞罰を明らにする事、善をすゝめ、惡をこらすは、將の用也、故に常〻勇士譽の批判能して、賞功に其輕重を不可亂事、第三に、常に兵法を習はす事、
現代語訳
『書経』にいいます。帝(舜)が言われた。「愛すべきは君ではないか。畏れるべきは民ではないか。民は元后(君)でなければ誰を戴こうか。君は民がなければ、ともに国を守る者がいない。慎め、汝の有する位を。敬んで、その願うべきこと(善事)を修めよ。四海が困窮すれば、天祿は永く終わる」。言う心は、帝は舜であり、禹に告げられた言葉です。元后とは君です。有位とは、君が居る位、すなわち君の職分です。可願とは善事のことをいいます。善事は人々が願い欲すべきことだからです。天祿とは、天子が天下を保つのは、天が与えた禄だということです。この段の意味は、民が愛し敬うべきものは君であり、君が畏れるべきものは民だということです。衆民は君のほかに首に戴くものがありません。だから君を愛し敬うべきです。君は衆民がいなければ、ともに国を守る者がいません。君に虐政があって衆民がそむくときは、国を守れません。だから畏れるべきなのです。だから、汝のいる位の職分を慎み、大事に善事を修め行いなさい。四海の民が困窮すれば、上を怨んでそむくので、君は天祿を保てません。天祿がひとたび絶えれば、永く継ぐことができません。だから深く畏れ慎むべきことなのです。○『太甲』にいいます。「汝の倹徳を慎み、ただ永き図りを懐え」。この意味は、伊尹が太甲に告げた言葉です。君主が驕り奢って臣民をあわれまず、自分の歓楽や遊びに費用が多いときは、国が貧しくなり、国の費えが足りず、末まで続かず、国が危うくなります。だから倹約の徳を慎み守り、永久を図ることを心に懐け、ということです。○軍家の者の流れに、大将の三つの采配ということがあります。これを法令の肝要としました。第一に、よく人を知ること。人をよく見知り、それぞれの賢いところを推し量って、諸役を申しつけるべきこと。第二に、賞罰を明らかにすること。善をすすめ悪をこらすのは将の働きです。だから常に勇士の誉れをよく吟味して、功を賞するにあたって軽重を乱してはならないこと。第三に、常に兵法を習わせること。
解説

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本の中身を見るこの章句が説くこと
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司馬法・嚴位若し将に復た戦わんとすれば、則ち賞罰を重くす。
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