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武治提要 / 傳璽・第12段

死の人に於ること甚易して、又甚難し。或は省察たらずして業を半にし、或は死に臨て遺敎を俄になさんとするがごとき、大丈夫の勤にあらず。或は正殿に薨せずして、婦人女子の手に死し、或は重く浮屠を信して、後事の禮の甚厚からんことを期するもの、皆これ武勇の薄き處にして、武智の不明より生ず。爰に至て百歲の武事始て休す。以てゆるかせにすべからず。

新字:死の人に於ること甚易して、又甚難し。或は省察たらずして業を半にし、或は死に臨て遺教を俄になさんとするがごとき、大丈夫の勤にあらず。或は正殿に薨せずして、婦人女子の手に死し、或は重く浮屠を信して、後事の礼の甚厚からんことを期するもの、皆これ武勇の薄き処にして、武智の不明より生ず。爰に至て百歳の武事始て休す。以てゆるかせにすべからず。

書き下し

死の人に於ること甚易して、又甚難し。或は省察たらずして業を半にし、或は死に臨て遺敎を俄になさんとするがごとき、大丈夫の勤にあらず。或は正殿に薨せずして、婦人女子の手に死し、或は重く浮屠を信して、後事の禮の甚厚からんことを期するもの、皆これ武勇の薄き處にして、武智の不明より生ず。爰に至て百歲の武事始て休す。以てゆるかせにすべからず。

現代語訳

死は人にとって、とても容易であり、またとても難しいものです。省察が行き届かずに事業を半ばで終えたり、死に臨んで急に遺教を残そうとしたりするのは、大丈夫(立派な男)の務めではありません。あるいは、正殿で亡くならずに婦人・女子の手の中で死んだり、深く仏教を信じて、死後の礼が非常に手厚いことを期待したりするのは、いずれも武勇の薄いところで、武智の明らかでないことから生じます。ここに至って、百年の武事はようやく終わります。だから、おろそかにしてはなりません。

解説

死の迎え方を、武将の最後の務めとして述べる段です。日ごろ自分を省みないまま事業を半ばで終えたり、死に際に急に遺言を残そうとしたりするのは、立派な者のすることではないとされます。婦人の手に死ぬ、仏教を深く信じて死後の礼を手厚く望むといった例は、武勇が薄い表れとして批判されます。これらは当時の価値観に基づく書き方で、宗教や性別への見方をそのまま今に当てはめることはできません。引き寄せるなら、引き際の準備の話です。日ごろから事業と人を整理し、引き継ぎを済ませ、突然の事態でも周りが困らないようにしておく。それが責任ある立場の最後の仕事だという読み方です。

この章句が説くこと

省察遺教引き際準備責任武治提要

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