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武治提要 / 傳璽・第9段

幼將成童の後、只勤て武義武事に暇なからしむるにあり。况や色情旣に動に於ては、いよ〳〵安佚をなさしむべからず。其情欲を節して、これを正するにあり。これ甚幽暗の地にして、傅職亦手を下し難きの塲也。近臣の撰尤この戒にあり。古に云く、父は矩なり。父將必ず幼將の規矩たり、父將に安佚怠慢の行あらずんば、後將亦自ら省、自ら恥るの志あつて、儒弱の行に至るべからず。

新字:幼将成童の後、只勤て武義武事に暇なからしむるにあり。況や色情既に動に於ては、いよ〳〵安佚をなさしむべからず。其情欲を節して、これを正するにあり。これ甚幽暗の地にして、傅職亦手を下し難きの塲也。近臣の撰尤この戒にあり。古に云く、父は矩なり。父将必ず幼将の規矩たり、父将に安佚怠慢の行あらずんば、後将亦自ら省、自ら恥るの志あつて、儒弱の行に至るべからず。

書き下し

幼將成童の後、只勤て武義武事に暇なからしむるにあり。况や色情旣に動に於ては、いよ〳〵安佚をなさしむべからず。其情欲を節して、これを正するにあり。これ甚幽暗の地にして、傅職亦手を下し難きの塲也。近臣の撰尤この戒にあり。古に云く、父は矩なり。父將必ず幼將の規矩たり、父將に安佚怠慢の行あらずんば、後將亦自ら省、自ら恥るの志あつて、儒弱の行に至るべからず。

現代語訳

幼い将が成童(子どもから大人に移る年ごろ)になった後は、ただ努めて武義・武事に暇がないようにすることです。まして、色情がすでに動くときには、ますます安逸にさせてはなりません。その情欲を節して、これを正すことです。これは非常に暗い領域で、傅職もまた手を下しにくい場です。近臣の選びが、この戒めに最もかかっています。昔の言葉に「父は矩なり」とあります。父である将は必ず幼い将の規矩となり、父の将に安逸怠慢の行いがなければ、後の将も自然と省み、自ら恥じる志があって、懦弱の行いに至ることはないでしょう。

解説

成童になってからの教養は、武の務めに暇なく取り組ませ、情欲が動く年ごろには安逸にさせず、節度を教えることだと述べる段です。これは周囲が手を出しにくい領域であり、だからこそ近臣の選びが大事だとされます。結びに、「父は矩なり」という古い言葉を引き、親である将が規範となれば、子も自ら省みて恥じる志が育つと言います。育成において、本人への指導以上に効くのは、上に立つ者自身の姿だという指摘です。部下は上司の言葉より、日々の行動を見ています。難しい個人的な領域には、指示より模範を示すほうが届きます。自分が部下の基準になっているという自覚を持つことが、管理職の最初の仕事です。

この章句が説くこと

規矩模範節度近臣上司の背中武治提要

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