武治提要 / 講武・第1段
淸平の日、武を講習して不怠は、武將の專務なり。其大綱三つ、一に云く武の形を講ず、二に云く武の事業を講ず、三に云く軍旅の事情を講ず。この三講に二つの目あり、云く人を以し、物を以てするなり。其事正しく、其形定り、其人物熟するに至て、講武の一成也。一成して又講し、講して又一成す。丈夫死して而后にやむは、講武の一事なり。
新字:清平の日、武を講習して不怠は、武将の専務なり。其大綱三つ、一に云く武の形を講ず、二に云く武の事業を講ず、三に云く軍旅の事情を講ず。この三講に二つの目あり、云く人を以し、物を以てするなり。其事正しく、其形定り、其人物熟するに至て、講武の一成也。一成して又講し、講して又一成す。丈夫死して而后にやむは、講武の一事なり。
書き下し
淸平の日、武を講習して不怠は、武將の專務なり。其大綱三つ、一に云く武の形を講ず、二に云く武の事業を講ず、三に云く軍旅の事情を講ず。この三講に二つの目あり、云く人を以し、物を以てするなり。其事正しく、其形定り、其人物熟するに至て、講武の一成也。一成して又講し、講して又一成す。丈夫死して而后にやむは、講武の一事なり。
現代語訳
平穏な日に、武を学び習って怠らないのは、武将の専らの務めです。その大綱は三つあります。一つ目は武の形を講じること、二つ目は武の事業を講じること、三つ目は軍旅の事情を講じることです。この三講にはそれぞれ二つの項目があり、人によって行うことと、物によって行うことです。その事が正しく、その形が定まり、その人と物が熟するに至って、講武の一つの成就です。一度成就しても、また講じ、講じてまた一つ成就する。立派な男子が死んで後に止むのが、講武というものです。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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『武治提要』講武・第2段武の形は第一城、第二營、第三器械なり。武の業事は第一陣、第二行、第三五兵の技なり。軍旅の事情は第一奇正虛實、第二客主衆寡、第三三戰五戰なり。人を以てするとは、或は先覺を師と定て講し、或は達人とともに謀て優劣得喪を定、或は人を列して其作法をこゝろむる也。物を以てするとは、或は古書に依て其意味を講じ、或は案牘となして廣く示し、或は圖畫となして其象形をこゝろみ、土砂木石を以て其形を定、人をして詳に知しむるごときこれなり。武の形、第一城とは、只築城の法を習學なすのみにあらず、身自ら常に巡見して、其屏櫓の破たるを修せしめ、或は壘を高し、隍を廣し、或は枝城境目の城砦を沙汰して、常に其利不利を明にするごときこれなり。第二營とは、書畫を以て其營法を定るなり。
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『武治提要』講武・第3段第三器械とは、武庫の兵具を常に正して不怠なり。武の業事第一陣とは、備を定なり。定と云こと、其意味甚幽微にして深重なり。其大意人定り、物定り、事定て、其則一決して以て變ずべからず。變ずべからざるの地に至て、始て無窮の變化を生ず。第二行とは、動く處の列を正するなり。一行を常として、五行にきわまり、雜行に終。氣を御するの法、行に於て尤重し。城營陣行これ兵法に所謂四法なり。第三五兵の技とは、兵器の法術なり、武將自これを勤、天下の士をしてこれに涵浸すること、武門の風化なり。軍旅の事情第一奇正虛實とは、これ必勝の父母なり。第二客主衆寡とは勢形の惣括なり。第三三戰五戰とは、勝利の綱目なり。講武の品目爰に至て全く盡せり。
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『武治提要』武事・第1段武事は武道の事物、武家の職業なり。其差等種類甚多し。武門の應接悉く武事に非ずと云ことなし。武事を知に至て、其智致り、其義なる。武學の智を養こと、其かゝる處尤重し。凡武事の品類甚多しといへども、其綱領は又多端に亘るべからず。或は有道に就てたゞすべきものあり、或は先進の言を待べからざるものあり。只能やむことなきの道を以てやむことなきの則を致るにあり。
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『武治提要』講武・第6段講武の要、唯其實を以てするにあり。實を以てせざるときは、徒に耳目の壯觀をなすのみにして、風俗を皷舞し、賊を征するの用をなし難し。心を其境に浸して、敵となり、吾となつて、得喪優劣を切にこゝろむるときは、其のり明なるべし。淸平の日に當て、守四夷にありといへども、猶防守の武事、聚散分合の政令を正しく致すは、講武の實なり。爰を以て兵法に內外八陣の法あり、內外八陣なるときは、たとへ蕭牆の內に敵生ずるとも、懼るゝにあらず。講武の功用爰に至て全し。
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『武治提要』講武・第5段放鷹狩獵これ講武の主用たり。故に古今の良將皆これを必とす。或は自ら郊野に出て、馳逐の業をこゝろみ、或は自ら山林に入、谷をこえ、水を渡て、手足の勞佚を知、或は自ら弓を射、砲を放て、其利不利をこゝろみ、或は自ら麾て聚散分合の成否をこゝろむること、武將の用なり。
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『武治提要』武事・第2段武學の要旨、古典を讀て、武國の風俗を知、武治の本意を辨、猶先進に問て其奧旨を曉すべし。軍書を學て、勝負の情を切にわきまえ、或は古戰の得失を論じて今日を知、以て勝利の淵源に通ずべし。爰に至て事理の大段明なり。武術に及ては御法を第一とす。劔法これに次、射法鐵砲等これに次。蓋しこれ武將武術を學習するの序なるべし。武器の品甚多く、古今の制、沿革の跡容易にきわむべからず。唯其利、不利を實にこゝろみ、全備省略の法を明にすべし。
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