武治提要 / 武事・第2段
武學の要旨、古典を讀て、武國の風俗を知、武治の本意を辨、猶先進に問て其奧旨を曉すべし。軍書を學て、勝負の情を切にわきまえ、或は古戰の得失を論じて今日を知、以て勝利の淵源に通ずべし。爰に至て事理の大段明なり。武術に及ては御法を第一とす。劔法これに次、射法鐵砲等これに次。蓋しこれ武將武術を學習するの序なるべし。武器の品甚多く、古今の制、沿革の跡容易にきわむべからず。唯其利、不利を實にこゝろみ、全備省略の法を明にすべし。
新字:武学の要旨、古典を読て、武国の風俗を知、武治の本意を弁、猶先進に問て其奥旨を暁すべし。軍書を学て、勝負の情を切にわきまえ、或は古戦の得失を論じて今日を知、以て勝利の淵源に通ずべし。爰に至て事理の大段明なり。武術に及ては御法を第一とす。剣法これに次、射法鉄砲等これに次。蓋しこれ武将武術を学習するの序なるべし。武器の品甚多く、古今の制、沿革の跡容易にきわむべからず。唯其利、不利を実にこゝろみ、全備省略の法を明にすべし。
書き下し
武學の要旨、古典を讀て、武國の風俗を知、武治の本意を辨、猶先進に問て其奧旨を曉すべし。軍書を學て、勝負の情を切にわきまえ、或は古戰の得失を論じて今日を知、以て勝利の淵源に通ずべし。爰に至て事理の大段明なり。武術に及ては御法を第一とす。劔法これに次、射法鐵砲等これに次。蓋しこれ武將武術を學習するの序なるべし。武器の品甚多く、古今の制、沿革の跡容易にきわむべからず。唯其利、不利を實にこゝろみ、全備省略の法を明にすべし。
現代語訳
武学の要旨は、古典を読んで武国の風俗を知り、武治の本意を弁え、さらに先進に問うてその奥旨を悟ることである。軍書を学んで勝負の情を切に弁え、あるいは古戦の得失を論じて今日を知り、勝利の淵源に通ずべきである。ここに至って事理の大段が明らかになる。武術に及んでは御法を第一とする。剣法がこれに次ぎ、射法・鉄砲などがこれに次ぐ。思うにこれは武将が武術を学習する順序であろう。武器の品は甚だ多く、古今の制や沿革の跡は容易に究められない。ただその利・不利を実際にためし、全備と省略の法を明らかにすべきである。
解説
この章句が説くこと
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『武治提要』武事・第1段武事は武道の事物、武家の職業なり。其差等種類甚多し。武門の應接悉く武事に非ずと云ことなし。武事を知に至て、其智致り、其義なる。武學の智を養こと、其かゝる處尤重し。凡武事の品類甚多しといへども、其綱領は又多端に亘るべからず。或は有道に就てたゞすべきものあり、或は先進の言を待べからざるものあり。只能やむことなきの道を以てやむことなきの則を致るにあり。
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『武治提要』講武・第1段淸平の日、武を講習して不怠は、武將の專務なり。其大綱三つ、一に云く武の形を講ず、二に云く武の事業を講ず、三に云く軍旅の事情を講ず。この三講に二つの目あり、云く人を以し、物を以てするなり。其事正しく、其形定り、其人物熟するに至て、講武の一成也。一成して又講し、講して又一成す。丈夫死して而后にやむは、講武の一事なり。
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『武治提要』傳璽・第8段敎養に文學讀書を必とすること、世の通例なり。尤善敎にしてこれをなすこと、武敎の實を以てせざるときは、必ず害あり。幼將の智漸く通ずるに及では、先武義武勇に導ことを主要とす。而して后これをたすくるに文學を以てするときは、大益たり。文章詩句のごとき、亦文の一事にして、泥著して嗜べからず。蓋し文學に二の大益あり。聖人の心を知、古今の情を知、これ第一益なり。多く天下の事物を知、これ第二益なり。此事物を知と云に品あり。文學をなすもの、多くは外國の事物を知て、本朝の事物を不知、これ世の通病なり。武將は只 本朝の事物を知を先務とす。民間卑劣の事物といへども、能これを知を武將の博覽と稱すべし。武治に志あらざるときは、必ずこれにうとし。故に幼將の內よりも卑劣たることを知しめて、折にふれ凡下の事物をも茗談し、下情に通ぜしむること、尤も大益たり。かの麥飯に通ぜざるごときこと、治世國郡の將に尤も多し、武將の不明に近し。
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『武治提要』武事・第4段文武の學皆悉く然りといへども、戰法軍術に於ては、殊更逐一に件々條々を愼思明辨せずんばあるべからず。これ今日に於て其當否の迹著明ならず、且頓に死生存亡のかゝる處にして、一たび其機を發してよりはこれを挽回すること易からざればなり。
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