武治提要 / 講武・第2段
武の形は第一城、第二營、第三器械なり。武の業事は第一陣、第二行、第三五兵の技なり。軍旅の事情は第一奇正虛實、第二客主衆寡、第三三戰五戰なり。人を以てするとは、或は先覺を師と定て講し、或は達人とともに謀て優劣得喪を定、或は人を列して其作法をこゝろむる也。物を以てするとは、或は古書に依て其意味を講じ、或は案牘となして廣く示し、或は圖畫となして其象形をこゝろみ、土砂木石を以て其形を定、人をして詳に知しむるごときこれなり。武の形、第一城とは、只築城の法を習學なすのみにあらず、身自ら常に巡見して、其屏櫓の破たるを修せしめ、或は壘を高し、隍を廣し、或は枝城境目の城砦を沙汰して、常に其利不利を明にするごときこれなり。第二營とは、書畫を以て其營法を定るなり。
新字:武の形は第一城、第二営、第三器械なり。武の業事は第一陣、第二行、第三五兵の技なり。軍旅の事情は第一奇正虚実、第二客主衆寡、第三三戦五戦なり。人を以てするとは、或は先覚を師と定て講し、或は達人とともに謀て優劣得喪を定、或は人を列して其作法をこゝろむる也。物を以てするとは、或は古書に依て其意味を講じ、或は案牘となして広く示し、或は図画となして其象形をこゝろみ、土砂木石を以て其形を定、人をして詳に知しむるごときこれなり。武の形、第一城とは、只築城の法を習学なすのみにあらず、身自ら常に巡見して、其屏櫓の破たるを修せしめ、或は塁を高し、隍を広し、或は枝城境目の城砦を沙汰して、常に其利不利を明にするごときこれなり。第二営とは、書画を以て其営法を定るなり。
書き下し
武の形は第一城、第二營、第三器械なり。武の業事は第一陣、第二行、第三五兵の技なり。軍旅の事情は第一奇正虛實、第二客主衆寡、第三三戰五戰なり。人を以てするとは、或は先覺を師と定て講し、或は達人とともに謀て優劣得喪を定、或は人を列して其作法をこゝろむる也。物を以てするとは、或は古書に依て其意味を講じ、或は案牘となして廣く示し、或は圖畫となして其象形をこゝろみ、土砂木石を以て其形を定、人をして詳に知しむるごときこれなり。武の形、第一城とは、只築城の法を習學なすのみにあらず、身自ら常に巡見して、其屏櫓の破たるを修せしめ、或は壘を高し、隍を廣し、或は枝城境目の城砦を沙汰して、常に其利不利を明にするごときこれなり。第二營とは、書畫を以て其營法を定るなり。
現代語訳
武の形は、第一に城、第二に営、第三に器械です。武の業事は、第一に陣、第二に行、第三に五兵の技です。軍旅の事情は、第一に奇正と虚実、第二に客と主・衆と寡、第三に三戦と五戦です。人によって講じるとは、先に悟った人を師と定めて学び、あるいは達人とともに謀って優劣や得失を決め、あるいは人を並べてその作法を試すことです。物によって講じるとは、古書によってその意味を講じ、あるいは案文にして広く示し、あるいは図画にしてその形を試み、土砂や木石でその形を定めて、人にくわしく知らせるようなことです。武の形のうち第一の城とは、ただ築城の法を学ぶだけでなく、自ら常に巡り見て、その塀や櫓の破れを修理させ、あるいは土塁を高くし、堀を広くし、あるいは支城や境目の砦を手配して、常にその利不利を明らかにするようなことです。第二の営とは、書画によってその陣営の法を定めることです。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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『武治提要』講武・第3段第三器械とは、武庫の兵具を常に正して不怠なり。武の業事第一陣とは、備を定なり。定と云こと、其意味甚幽微にして深重なり。其大意人定り、物定り、事定て、其則一決して以て變ずべからず。變ずべからざるの地に至て、始て無窮の變化を生ず。第二行とは、動く處の列を正するなり。一行を常として、五行にきわまり、雜行に終。氣を御するの法、行に於て尤重し。城營陣行これ兵法に所謂四法なり。第三五兵の技とは、兵器の法術なり、武將自これを勤、天下の士をしてこれに涵浸すること、武門の風化なり。軍旅の事情第一奇正虛實とは、これ必勝の父母なり。第二客主衆寡とは勢形の惣括なり。第三三戰五戰とは、勝利の綱目なり。講武の品目爰に至て全く盡せり。
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『武治提要』講武・第1段淸平の日、武を講習して不怠は、武將の專務なり。其大綱三つ、一に云く武の形を講ず、二に云く武の事業を講ず、三に云く軍旅の事情を講ず。この三講に二つの目あり、云く人を以し、物を以てするなり。其事正しく、其形定り、其人物熟するに至て、講武の一成也。一成して又講し、講して又一成す。丈夫死して而后にやむは、講武の一事なり。
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『武治提要』武事・第2段武學の要旨、古典を讀て、武國の風俗を知、武治の本意を辨、猶先進に問て其奧旨を曉すべし。軍書を學て、勝負の情を切にわきまえ、或は古戰の得失を論じて今日を知、以て勝利の淵源に通ずべし。爰に至て事理の大段明なり。武術に及ては御法を第一とす。劔法これに次、射法鐵砲等これに次。蓋しこれ武將武術を學習するの序なるべし。武器の品甚多く、古今の制、沿革の跡容易にきわむべからず。唯其利、不利を實にこゝろみ、全備省略の法を明にすべし。
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『武治提要』講武・第6段講武の要、唯其實を以てするにあり。實を以てせざるときは、徒に耳目の壯觀をなすのみにして、風俗を皷舞し、賊を征するの用をなし難し。心を其境に浸して、敵となり、吾となつて、得喪優劣を切にこゝろむるときは、其のり明なるべし。淸平の日に當て、守四夷にありといへども、猶防守の武事、聚散分合の政令を正しく致すは、講武の實なり。爰を以て兵法に內外八陣の法あり、內外八陣なるときは、たとへ蕭牆の內に敵生ずるとも、懼るゝにあらず。講武の功用爰に至て全し。
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『武治提要』講武・第5段放鷹狩獵これ講武の主用たり。故に古今の良將皆これを必とす。或は自ら郊野に出て、馳逐の業をこゝろみ、或は自ら山林に入、谷をこえ、水を渡て、手足の勞佚を知、或は自ら弓を射、砲を放て、其利不利をこゝろみ、或は自ら麾て聚散分合の成否をこゝろむること、武將の用なり。
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『武治提要』明事物・第3段武義の事物、更にこれを明にするにあり。治世に居てこれを明にせざるときは、先勝て而後に戰ことを得難し。人物器械城陣行營のごときは物なり、客主攻守武略戰律のごときものは皆事なり、各其綱目あつて紊るべからず。
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