導師導古典を学びたいすべての人に 法人向けワークシート法人向けワークシート

武治提要 / 民政・第6段

商民の風俗因循して、虛僞を常とす。これやむことを得ざるの勢にして、善者ありといへども、如何ともすべからざるの地なり。彼をして天下皆篤實誠信ならしめんことを說は、腐儒の空談也。今時皆彼が虛僞を產とすることを知て、欺るゝことなく、彼亦常として恥ることなし。故に四民の最下に屈して、富といへども貴からず。其間斗衡をあやまち、金銀を私するがごときは、重刑あり。然らば乃虛僞を常となす、亦何の害あらんや。日月霜露の照墾する處、四民の名分今時の如き正しきものはあるべからず。

新字:商民の風俗因循して、虚偽を常とす。これやむことを得ざるの勢にして、善者ありといへども、如何ともすべからざるの地なり。彼をして天下皆篤実誠信ならしめんことを説は、腐儒の空談也。今時皆彼が虚偽を産とすることを知て、欺るゝことなく、彼亦常として恥ることなし。故に四民の最下に屈して、富といへども貴からず。其間斗衡をあやまち、金銀を私するがごときは、重刑あり。然らば乃虚偽を常となす、亦何の害あらんや。日月霜露の照墾する処、四民の名分今時の如き正しきものはあるべからず。

書き下し

商民の風俗因循して、虛僞を常とす。これやむことを得ざるの勢にして、善者ありといへども、如何ともすべからざるの地なり。彼をして天下皆篤實誠信ならしめんことを說は、腐儒の空談也。今時皆彼が虛僞を產とすることを知て、欺るゝことなく、彼亦常として恥ることなし。故に四民の最下に屈して、富といへども貴からず。其間斗衡をあやまち、金銀を私するがごときは、重刑あり。然らば乃虛僞を常となす、亦何の害あらんや。日月霜露の照墾する處、四民の名分今時の如き正しきものはあるべからず。

現代語訳

商人の風俗は慣習となり、いつわりが常になっています。これはやむを得ない勢いで、善い者がいても、どうしようもない土地柄です。彼らを天下みな誠実で信義あるものにしようと説くのは、腐った儒者の空談です。いまは皆、彼らが虚偽を生業としていることを知っており、欺かれることがなく、彼らもまた常として恥じません。だから四民の最下位に屈して、富んでいても尊ばれません。そのうえで、秤や枡を誤魔化し、金銀をくすねるような者には重い刑があります。それなら、いつわりが常であっても、何の害がありましょうか。日月や霜露の照らすところ、四民の名分が今のように正しいものはありません。

解説

この段は、当時の武家が商人に対して抱いていた偏見が強く出ており、現代の感覚では受け入れられない箇所です。そのまま鵜呑みにすべきではありません。ただ、人の善意に期待しすぎず、仕組みで不正を防ぐという発想は読み取れます。秤の誤魔化しに重い刑を置くというのは、性悪説というより、ルールで線を引くという考え方です。取引先や部下に対しても、信頼するだけでなく、不正が起きにくい仕組みを持つことが、管理職の責任になります。

この章句が説くこと

民政商民名分不正仕組み武治提要

関連する章句

『人生の方程式』の表紙

人生を、一行の式にしてみた。

志×積×時×憤÷(1+執)+命。古典から導いた式『人生の方程式』と、二十四の悩みに古典が答える『人生の教科書』(PDF)、師導の全機能1か月がセットで700円です。

本の中身を見る
本2冊(人生の方程式・人生の教科書)+師導1か月=700円 本を見る