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武治提要 / 正職役・第2段

職役の品甚多して、其本文武の二に過ることなし。其故何ぞや。凡天地人物の惣官陰陽にして、人情多端なるがごときも、又好惡の二に過ることなし。是陰陽二氣の發見する處なればなり。好惡の情發して節に中るを仁義とし、仁義の事物に就て象形あるを文武とす。此故に文武惣統の臣を第一とし、文の惣統と武の惣統と、兩人を擧て左右の臣とす。爰に至て萬機の政事、自ら不統と云ことあらず。これより推來て、竟に十百の品類を生ず。其綱目唯やむことなきの道を以て、事物の情を推にあり。推こと明に、盡すこと詳なるときは、なすこと無してなる、これ兵法萬事の要務なり。

新字:職役の品甚多して、其本文武の二に過ることなし。其故何ぞや。凡天地人物の惣官陰陽にして、人情多端なるがごときも、又好悪の二に過ることなし。是陰陽二気の発見する処なればなり。好悪の情発して節に中るを仁義とし、仁義の事物に就て象形あるを文武とす。此故に文武惣統の臣を第一とし、文の惣統と武の惣統と、両人を挙て左右の臣とす。爰に至て万機の政事、自ら不統と云ことあらず。これより推来て、竟に十百の品類を生ず。其綱目唯やむことなきの道を以て、事物の情を推にあり。推こと明に、尽すこと詳なるときは、なすこと無してなる、これ兵法万事の要務なり。

書き下し

職役の品甚多して、其本文武の二に過ることなし。其故何ぞや。凡天地人物の惣官陰陽にして、人情多端なるがごときも、又好惡の二に過ることなし。是陰陽二氣の發見する處なればなり。好惡の情發して節に中るを仁義とし、仁義の事物に就て象形あるを文武とす。此故に文武惣統の臣を第一とし、文の惣統と武の惣統と、兩人を擧て左右の臣とす。爰に至て萬機の政事、自ら不統と云ことあらず。これより推來て、竟に十百の品類を生ず。其綱目唯やむことなきの道を以て、事物の情を推にあり。推こと明に、盡すこと詳なるときは、なすこと無してなる、これ兵法萬事の要務なり。

現代語訳

職役の種類はたいへん多いが、その根本は文と武の二つに過ぎない。それはなぜか。およそ天地人物の総ては陰陽であり、人情が多端に見えても、好悪の二つに過ぎない。これは陰陽二気の現れだからである。好悪の情が発して節度にかなうのを仁義とし、仁義が事物について形になって現れたものを文武とする。だから文武を総統する臣を第一とし、文の総統と武の総統の二人を挙げて左右の臣とする。ここに至れば、あらゆる政事は、おのずから統べられないということがない。ここから推し広げて、ついに十、百の種類を生む。その綱目は、やむを得ない道によって、事物の情を推し量ることにある。推すことが明らかで、尽くすことが詳しければ、為すことなくして成る。これが兵法万事の要務である。

解説

職役は無数にあっても根本は文と武の二つであり、その総統を左右の臣に立てれば政事は自然と統べられる、という段です。理由づけは、陰陽から好悪の情、そして仁義、文武へと筋をたどる、当時の思想らしい整理です。複雑に見えるものも、根本は少数の軸にまとまるという考え方が、ここでは組織設計に使われています。いまの会社に当てはめれば、部署が細かく分かれていても、軸となるのは、中を整える機能と外へ働きかける機能の二つだという見方もできるでしょう。細部の調整に追われたときこそ、根本の軸に立ち返ることで、全体の構造が見えやすくなります。

この章句が説くこと

文武総統組織設計根本好悪仁義

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