武治提要 / 擧人・第4段
知人は初にして智なり、擧人は終にして行なり。知こと明にして、擧こと節に中るは、將の成德也。既に人の善を知て、猶遷職の命に怠るものは、道にあらず。況や上等の上品たることを知て擧用ひざるは、これを知の用なし。蓋しこれ人君財祿に吝る歟、或は奸議のよる處ある歟、共に司命の政にあらず。此故に下官の奇士を擧て、其器たがわざるは、人君の至明にして、勸善の政これより大なるはあらず。
新字:知人は初にして智なり、挙人は終にして行なり。知こと明にして、挙こと節に中るは、将の成徳也。既に人の善を知て、猶遷職の命に怠るものは、道にあらず。況や上等の上品たることを知て挙用ひざるは、これを知の用なし。蓋しこれ人君財禄に吝る歟、或は奸議のよる処ある歟、共に司命の政にあらず。此故に下官の奇士を挙て、其器たがわざるは、人君の至明にして、勧善の政これより大なるはあらず。
書き下し
知人は初にして智なり、擧人は終にして行なり。知こと明にして、擧こと節に中るは、將の成德也。既に人の善を知て、猶遷職の命に怠るものは、道にあらず。況や上等の上品たることを知て擧用ひざるは、これを知の用なし。蓋しこれ人君財祿に吝る歟、或は奸議のよる處ある歟、共に司命の政にあらず。此故に下官の奇士を擧て、其器たがわざるは、人君の至明にして、勸善の政これより大なるはあらず。
現代語訳
人を知ることは始めにあたる智であり、人を挙げることは終わりにあたる行いである。知ることが明らかで、挙げることが節度にかなうのは、将の成徳である。すでに人の善を知りながら、なお職を移す命を出すのを怠るのは、道ではない。まして上等の上品であると知りながら挙げて用いないのは、知ったことに何の用もない。これはおそらく、君が財禄を惜しむのか、あるいは奸邪な議論に左右されるのかであろう。どちらも命を司る者の政ではない。だから、下官の奇士を挙げて、その器にたがわないなら、それは君の至明であり、善を勧める政として、これより大きなものはない。
解説
この章句が説くこと
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『武治提要』知人・第9段武將人を知の道、人々に自ら見知料知せんとならば、膏油を晷について年を窮るとも得べからず、只大職をあたえんと欲する人を審に見料すべし。是を知て不差ときは、其餘の人を擧ること又易し。其本耳目を廣するにあり。耳目を廣すること、監察の職を用ゆるにあり。否なるときは其知こと狹固なり。而して監察の職任正しからざるときは、却て惑を增に足り、凡監察の職用は彼が耳目を假て武將の耳目に通ずるなり。武將に明耳目あらずして、只監察の耳目を以て是非を決せんとなすは、あやまりなり。
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