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武治提要 / 擧人・第3段

世靜にして俗正しく、國富民豐に、政令皆古典により、敵國外患あらざるときは、常經に從て、系譜正しき中等の人を以て其職に任ぜん、亦可也。世既に澆季に及で、國に禍多く、政令亦紛亂して、今中興をなさずんば亂まさに遠にあるべからざるがごときの時に中て、良將勃興し、再武德を草創して奇功をなさんとするに及ては、必ず奇器の材を擧るにあらずんば、功業を立ること叶べからす。身疾なきときは平日の食を以て躰を養、疾あるときは良醫を四方に尋て藥を飮がごとし。これ皆時勢にして、やむことなきの實を用ゆるにあり。

新字:世静にして俗正しく、国富民豊に、政令皆古典により、敵国外患あらざるときは、常経に従て、系譜正しき中等の人を以て其職に任ぜん、亦可也。世既に澆季に及で、国に禍多く、政令亦紛乱して、今中興をなさずんば乱まさに遠にあるべからざるがごときの時に中て、良将勃興し、再武徳を草創して奇功をなさんとするに及ては、必ず奇器の材を挙るにあらずんば、功業を立ること叶べからす。身疾なきときは平日の食を以て体を養、疾あるときは良医を四方に尋て薬を飲がごとし。これ皆時勢にして、やむことなきの実を用ゆるにあり。

書き下し

世靜にして俗正しく、國富民豐に、政令皆古典により、敵國外患あらざるときは、常經に從て、系譜正しき中等の人を以て其職に任ぜん、亦可也。世既に澆季に及で、國に禍多く、政令亦紛亂して、今中興をなさずんば亂まさに遠にあるべからざるがごときの時に中て、良將勃興し、再武德を草創して奇功をなさんとするに及ては、必ず奇器の材を擧るにあらずんば、功業を立ること叶べからす。身疾なきときは平日の食を以て躰を養、疾あるときは良醫を四方に尋て藥を飮がごとし。これ皆時勢にして、やむことなきの實を用ゆるにあり。

現代語訳

世が静かで風俗が正しく、国が富み民が豊かで、政令がみな古典によって行われ、敵国や外からの患いがないときは、常の道に従って、系譜の正しい中等の人をその職に任じるのも、よい。世がすでに末世に及び、国に禍が多く、政令も乱れ、いま中興をしなければ乱が遠くないというような時に、優れた将が奮い起こり、再び武徳を創め直して奇功を立てようとするときには、必ず奇才の器を挙げなければ、功業を立てることはできない。身に病がないときは平日の食事で体を養い、病があるときは良医を四方に尋ねて薬を飲むようなものである。これはみな時勢であり、やむを得ない実情を用いることにある。

解説

人材の登用は、世の状況によって変えるべきだと述べる段です。安定した平時は、系譜の正しい中程度の人で職を回してよいが、乱れた世や立て直しの時期は、並外れた器量の人を挙げなければ功は立てられないと言います。たとえは、健康な人は普段の食事で、病人は良医を探して薬を飲むというものです。ここで言う奇才は、常識の枠に収まらない人のことです。いまの会社にも当てはまります。平常運転なら標準的な人事で回りますが、業績不振や事業転換の局面では、前例にない人材や役割分担が必要になります。自社がどちらの局面にいるのかを見極めることが前提になります。

この章句が説くこと

挙人時勢非常時奇才中興適応

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