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弁名 / 陰陽五行

五行始見虞書。水火金木土穀。謂之六府。是言地上之六物也。利用厚生之道。所用之材。不出是六者。然五行之名。則至洪範始有之。曰一五行。一曰水。二曰火。三曰木。四曰金。五曰土。水曰潤下。火曰炎上。木曰曲直。金曰從革。土爰稼穡。潤下作鹹。炎上作苦。曲直作酸。從革作辛。稼穡作甘。

新字:五行始見虞書。水火金木土穀。謂之六府。是言地上之六物也。利用厚生之道。所用之材。不出是六者。然五行之名。則至洪範始有之。曰一五行。一曰水。二曰火。三曰木。四曰金。五曰土。水曰潤下。火曰炎上。木曰曲直。金曰従革。土爰稼穡。潤下作鹹。炎上作苦。曲直作酸。従革作辛。稼穡作甘。

書き下し

五行は始めて虞書に見ゆ。水火金木土穀、之を六府と謂ふ。是れ地上の六物を言ふなり。利用厚生の道、用ふる所の材は、是の六者を出でず。然れども五行の名は、則ち洪範に至りて始めて之れ有り。曰く、「一に五行。一に曰く水、二に曰く火、三に曰く木、四に曰く金、五に曰く土。水は潤下と曰ひ、火は炎上と曰ひ、木は曲直と曰ひ、金は従革と曰ひ、土は爰に稼穡す。潤下は鹹を作し、炎上は苦を作し、曲直は酸を作し、従革は辛を作し、稼穡は甘を作す」と。

現代語訳

五行は『書経』虞書に初めて見える。水・火・金・木・土・穀を六府という。これは地上の六つの物を言ったものである。利用厚生(物をうまく使い、民の生活を豊かにする)の道で用いる材料は、この六つを出ない。しかし五行という名は、洪範に至ってはじめて現れる。「第一に五行。一に水、二に火、三に木、四に金、五に土。水は潤して下り、火は燃えて上り、木は曲がりまっすぐになり、金は形に従い変わり、土は種をまき収穫する。潤して下るものは鹹(しおからさ)を生み、燃えて上るものは苦みを生み、曲がりまっすぐになるものは酸っぱさを生み、形に従い変わるものは辛さを生み、種をまき収穫するものは甘さを生む」とある。

解説

五行は後世、宇宙の万物を貫く原理とされたが、徂徠はまず出典をたどる。最初に現れるのは虞書の「六府」で、水火金木土穀という、民の暮らしを支える地上の材料にすぎなかった。五行という名は洪範ではじめて現れ、そこでも水は潤して下るといった、物の性質と味の記述である。抽象的な原理の出発点が、実はごく実用的な資材の分類だったという指摘は、陰陽五行説を相対化する。どんな壮大な理論も、出発点の具体的な用途に立ち返ると、その使いどころと限界が見えてくる。

この章句が説くこと

五行六府洪範書経利用厚生材

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