導師導古典を学びたいすべての人に

五行大義 / 第一釈名・第一釈五行名

其時季夏。季。老也。萬物於此成就。方老。王於四時之季。故曰老也。其位處內。內。通也。禮斗威儀云。得皇極之正氣。含黃中之德。能苞萬物。許慎云。金者。禁也。陰氣始起。萬物禁止也。土生於金。字從土。左右注。象金在土中之形也。其時秋也。禮記云。秋之爲言愁也愁之以時察守義者也。尸子云。秋。肅也。萬物莫不肅敬恭莊。禮之主也。說文曰。天地反物爲秋。其位西方。尚書大傳云。西。鮮也。鮮。訊也。訊者。始入之貌也。釋名。廣雅。白虎通。皆曰。水。準也。平準萬物。元命苞曰。水之爲言演也。陰化淖濡。流施潛行也。故立字。兩人交。一以中出者爲水。一者。數之始。兩人。譬男女。陰陽交以起一也。水者。五行始焉。元氣之湊液也。管子云。水者。地之血氣筋脉之通流者。故曰水。許慎云。其字象泉並流。中有微陽之氣。其時冬。尸子云。冬。終也。萬物至此終藏也。禮記云。冬之爲言中也。中者。藏也。其位北方。尸子云。北。伏也。萬物至冬皆伏。貴賤若一也。五行之時及方位。故分而釋之。

新字:其時季夏。季。老也。万物於此成就。方老。王於四時之季。故曰老也。其位処内。内。通也。礼斗威儀云。得皇極之正気。含黄中之徳。能苞万物。許慎云。金者。禁也。陰気始起。万物禁止也。土生於金。字従土。左右注。象金在土中之形也。其時秋也。礼記云。秋之為言愁也愁之以時察守義者也。尸子云。秋。粛也。万物莫不粛敬恭荘。礼之主也。説文曰。天地反物為秋。其位西方。尚書大伝云。西。鮮也。鮮。訊也。訊者。始入之貌也。釈名。広雅。白虎通。皆曰。水。準也。平準万物。元命苞曰。水之為言演也。陰化淖濡。流施潜行也。故立字。両人交。一以中出者為水。一者。数之始。両人。譬男女。陰陽交以起一也。水者。五行始焉。元気之湊液也。管子云。水者。地之血気筋脉之通流者。故曰水。許慎云。其字象泉並流。中有微陽之気。其時冬。尸子云。冬。終也。万物至此終蔵也。礼記云。冬之為言中也。中者。蔵也。其位北方。尸子云。北。伏也。万物至冬皆伏。貴賤若一也。五行之時及方位。故分而釈之。

書き下し

其の時は季夏。季は老なり。万物此に於いて成就し、方(まさ)に老ゆ。四時の季に王たり、故に老と曰うなり。其の位は内に処る。内は通なり。礼斗威儀(れいとい ぎ)に云う、「皇極の正気を得、黄中の徳を含み、能く万物を苞(つつ)む」と。許慎云う、「金は禁なり。陰気始めて起こり、万物禁止するなり。土、金を生ず、字は土に従い、左右の注は、金の土中に在るの形に象るなり」と。其の時は秋なり。礼記に云う、「秋の言たる愁なり。之を愁えしむるに時を以て察し、義を守る者なり」と。尸子云う、「秋は粛なり。万物粛敬恭荘せざる莫し。礼の主なり」と。説文に曰く、「天地、物を反すを秋と為す」と。其の位は西方。尚書大伝に云う、「西は鮮なり。鮮は訊なり。訊とは始めて入るの貌なり」と。釈名・広雅・白虎通、皆曰く、「水は準なり。万物を平準す」と。元命苞に曰く、「水の言たる演なり。陰化して淖濡(とうじゅ)し、流施して潜行するなり」と。故に字を立つるに、両人交わり、一の中より出づる者を水と為す。一は数の始めなり。両人は男女に譬う。陰陽交わりて以て一を起こすなり。水は五行の始め、元気の湊液(そうえき)なり。管子に云う、「水は地の血気、筋脈の通流する者なり」と。故に水と曰う。許慎云う、「其の字は泉の並び流るるに象り、中に微陽の気有り」と。其の時は冬。尸子云う、「冬は終なり。万物此に至りて終わり蔵(かく)るるなり」と。礼記に云う、「冬の言たる中なり。中は蔵なり」と。其の位は北方。尸子云う、「北は伏なり。万物冬に至りて皆伏し、貴賤一の若きなり」と。五行の時及び方位、故に分かちて之を釈す。

現代語訳

(土の)季節は季夏(夏の終わりの月)である。季とは老いることである。万物はここで成熟し、まさに老いていく。土は四季それぞれの終わりに王(さかん)となるので、老という。その位置は内(中央)にある。内とは通じる(四方に通じる)ことである。『礼斗威儀』(『礼緯斗威儀』。漢代の緯書)には「皇極(天子の立てる中正の道)の正しい気を得、黄中(中央の黄の色)の徳を含み、よく万物を包み込む」とある。許慎は「金は禁(とどめる)である。陰の気が起こりはじめ、万物の成長がとどめられるのである。土が金を生むので、字は土からなり、左右の点は金が土の中にある形をかたどっている」という。その季節は秋である。『礼記』には「秋という言葉は愁(ひきしめる)の意味である。時節に応じてこれを引き締め、よく見て義を守るものである」とある。『尸子』は「秋は粛(つつしむ)である。万物はみな慎み敬い、うやうやしくおごそかになる。礼のつかさどるところである」という。『説文解字』には「天地が物を元に返すのを秋とする」とある。その方位は西方である。『尚書大伝』には「西は鮮(あらた)である。鮮は訊である。訊とは、(陽気が)はじめて入っていく様子である」とある。『釈名』『広雅』(三国魏の張揖の字書)『白虎通』はいずれも「水は準(水準)である。万物を平らにならす」という。『元命苞』には「水という言葉は演(ながれひろがる)の意味である。陰の気が変化してしっとりと潤い、流れ広がって地中をひそかに行くのである」とある。そこで字を作るとき、二人が交わり、その真ん中から一が出てくる形を水とした。一は数の始まりである。二人は男女にたとえる。陰と陽が交わって一を生み出すのである。水は五行の始まりであり、根源の気が集まってできた液である。『管子』には「水は地の血気であり、筋や脈のように通って流れるものである」とある。だから水という。許慎は「その字は泉が並んで流れる姿をかたどり、中にかすかな陽の気がある」という。その季節は冬である。『尸子』は「冬は終(おわる)である。万物はここに至って終わり、しまい込まれる」という。『礼記』には「冬という言葉は中の意味である。中とはしまい込むことである」とある。その方位は北方である。『尸子』は「北は伏(ふせる)である。万物は冬になるとみな伏し、貴いものも賤しいものも同じようになる」という。五行の季節と方位は、このように分けて解き明かした。

解説

前の段に続き、土の季節と方位を述べたあと、金と水の名の由来を論じる。土は特定の季節を持たず、四季それぞれの終わりの十八日ほどに王になるとされるが、ここでは代表として季夏、つまり夏の終わりに置き、「季は老なり」と成熟の意味を与える。位置は中央で、四方に通じるものとされる。金は「禁」で、陰の気が起こって万物の伸びを止める働きを表し、秋は「愁」「粛」で、引き締まり慎む季節とされる。水は「準」、つまり水準器のように物を平らにするものとされ、字形を男女の交わりから一が生まれる姿と解くのは、水を五行の始まりに置く考えと結びついている。冬は「終」「中」「蔵」、北は「伏」で、万物がしまい込まれる時とされる。五行の名・季節・方位を一組にして語る構えは、後の段で展開される配当の基礎になる。土用という言葉が今も暦に残るのは、土を四季の変わり目に置くこの考えによる。季節ごとに体と心の構えを変えるという発想は、今の暮らしにも生かせるだろう。

この章句が説くこと

五行大義釈名土用金水

関連する章句

古典の入門書『人生の教科書』の表紙

人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。

古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。

本の中身を見る
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)+師導1か月=700円 本を見る