弁名 / 善良
善者惡之反。泛言之者也。其解見孟子。曰可欲之謂善。雖非先王之道。凡可以利人救民者。皆謂之善。是衆人之所欲故也。先王之道。善之至者也。天下莫尙焉。故至善者賛先王之道之辭也。又有以人言焉者。如曰惟善以爲寶。曰善則得之。不善則失之。曰擧善而敎不能。皆指善人言之。雖非聖人。然能立法定制。可以治國安民者。皆得稱善人焉。有對美而言者。美以其有光輝而可觀言之。善以其當義合宜言之。如盡美盡善是也。皆以樂言之。舊說謬矣。如先王之道。斯爲美。及孟子善信美大聖神。皆可以觀其字義已。
新字:善者悪之反。泛言之者也。其解見孟子。曰可欲之謂善。雖非先王之道。凡可以利人救民者。皆謂之善。是衆人之所欲故也。先王之道。善之至者也。天下莫尚焉。故至善者賛先王之道之辞也。又有以人言焉者。如曰惟善以為宝。曰善則得之。不善則失之。曰挙善而教不能。皆指善人言之。雖非聖人。然能立法定制。可以治国安民者。皆得称善人焉。有対美而言者。美以其有光輝而可観言之。善以其当義合宜言之。如尽美尽善是也。皆以楽言之。旧説謬矣。如先王之道。斯為美。及孟子善信美大聖神。皆可以観其字義已。
書き下し
善とは悪の反なり。泛く之を言ふ者なり。其の解は孟子に見ゆ。「欲すべき、之を善と謂ふ」と曰ふ。先王の道に非ずと雖も、凡そ以て人を利し民を救ふべき者は、皆之を善と謂ふ。是れ衆人の欲する所なるが故なり。先王の道は、善の至れる者なり。天下焉より尚きは莫し。故に「至善」とは先王の道を賛するの辞なり。又た人を以て言ふ有り。「惟だ善以て宝と為す」と曰ひ、「善なれば則ち之を得、不善なれば則ち之を失ふ」と曰ひ、「善を挙げて能はざるを教ふ」と曰ふが如き、皆善人を指して之を言ふ。聖人に非ずと雖も、然れども能く法を立て制を定め、以て国を治め民を安んずべき者は、皆善人と称するを得。美に対して言ふ者有り。美は其の光輝有りて観るべきを以て之を言ひ、善は其の義に当たり宜しきに合ふを以て之を言ふ。「美を尽くし善を尽くす」の如き是れなり。皆楽を以て之を言ふ。旧説は謬れり。「先王の道、斯を美と為す」、及び孟子の「善・信・美・大・聖・神」の如き、皆以て其の字義を観るべきのみ。
現代語訳
「善」とは「悪」の反対で、広く言う言葉である。その解釈は『孟子』に見え、「欲しいと思わせるもの、それを善という」とある。先王の道でなくても、およそ人に利益を与え民を救うことのできるものは、みな善という。それは多くの人が望むものだからである。先王の道は善の極みであり、天下にこれに勝るものはない。だから「至善」とは先王の道を讃える言葉である。また人について言う場合もある。「ただ善を宝とする」「善であればこれを得、不善であればこれを失う」「善を挙げ用いて、できない者を教える」などは、みな善人を指して言っている。聖人でなくても、法を立て制度を定めて、国を治め民を安んじることのできる者は、みな善人と呼ばれうる。また「美」と対にして言う場合がある。「美」は光り輝いて見るべきものがあることから言い、「善」は義にかない宜しさに合うことから言う。「美を尽くし、善を尽くす」がそれで、どちらも音楽について言ったものである。旧来の解釈は誤っている。「先王の道はこれを美とする」や、孟子の「善・信・美・大・聖・神」などを見れば、その字義がわかるだろう。
解説
この章句が説くこと
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