弁名 / 義
義。亦先王之所立。道之名也。葢先王之立禮。其爲敎亦周矣哉。然禮有一定之體。而天下之事無窮。故又立義焉。傳曰。詩書義之府也。禮樂之則也。禮樂相須。樂未有離禮孤行者。故曰禮義也者人之大端也。禮以制心。義以制事。禮以守常。義以應變。擧此二者。而先王之道庶乎足以盡之矣。故古者多以禮義對言。爲是故也。
新字:義。亦先王之所立。道之名也。葢先王之立礼。其為教亦周矣哉。然礼有一定之体。而天下之事無窮。故又立義焉。伝曰。詩書義之府也。礼楽之則也。礼楽相須。楽未有離礼孤行者。故曰礼義也者人之大端也。礼以制心。義以制事。礼以守常。義以応変。挙此二者。而先王之道庶乎足以尽之矣。故古者多以礼義対言。為是故也。
書き下し
義も亦た先王の立つる所、道の名なり。蓋し先王の礼を立つる、其の教為ること亦た周きかな。然れども礼は一定の体有りて、天下の事は窮まり無し。故に又義を立つ。伝に曰く、「詩書は義の府なり。礼楽は之が則なり」と。礼楽は相須ち、楽は未だ礼を離れて孤行する者有らず。故に曰く、「礼義なる者は人の大端なり」と。礼は以て心を制し、義は以て事を制す。礼は以て常を守り、義は以て変に応ず。此の二者を挙ぐれば、先王の道以て之を尽くすに庶し。故に古は多く礼義を以て対言す。是が為の故なり。
現代語訳
義もまた先王が立てたもので、道の名である。思うに先王が礼を立てたのは、教えとして行き届いたものであった。しかし礼には一定の形があるのに、天下の事柄は限りがない。そこでさらに義を立てた。『左伝』に「詩・書は義の倉庫であり、礼・楽はその規範である」とある。礼と楽は互いに頼り合い、楽が礼から離れて単独で行われたことはない。だから「礼義というものは人の大本である」と言うのである。礼によって心を制し、義によって事を制する。礼によって常を守り、義によって変化に応じる。この二つを挙げれば、先王の道はほぼ尽くされる。古くは多く礼と義を対にして言ったのは、このためである。
解説
この章句が説くこと
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『弁名』理氣人欲夫れ道は聖人の立つる所、豈に道を見るを以て言ふを容れんや。又た豈に老氏と対言するを容れんや。夫れ道は民を安んずる所以なり。又た豈に生生化化を以て言ふを容れんや。理の玉に従ひ里に従ふは、亦た倉頡字を制する時、且く此を以て記憶に便するのみ。豈に泥むを容れんや。且つ道も亦た諸を道路に本づく。豈に死活有らんや。祇だ道は之を行ふを主とし、理は之を見るを主とす。老荘及び宋儒は皆其の見る所を主とす。故に喜んで理を言ふのみ。若し死活を以て説を為さば、則ち老荘も亦た道徳を言ふ、其れ之を何と謂はん。之を要するに理豈に廃するを容れんや。苟も聖人の教に遵ひ、礼義を以て之が極と為せば、則ち理豈に以て病と為すに足らんや。仁斎先生は羹に懲りて韲を吹くと謂ふべきのみ。学者諸を思へ。
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『五常訓』巻之四・義一子曰く、君子は義以て質と為し、礼以て之を行ひ、孫以て之を出し、信以て之を成す、君子なるかな。云ふ意は君子の事を行ふは、義を以てした地とすべし。義は事を制する本なれば也。万の事を行ふに、まづ義か不義かをかへり見るべし。義にあらずんば、行ふべからず。義に合はば行ふべし。是義を以てしたぢとする也。其上は、礼を以てすべ、よく行ひ、孫を以てへりくだりて、人にたかぶらず、信を以て、始終真実に行ふべし。是君子の行なり。然れども義なければ、其事の主なし。故に礼孫信の三そなはりても、非義なれば見るに足らず。尚書に、以義制事といへるも、此意なり。
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『翁問答』下卷之末偸盗戒を義なりといへるは可なりしかれ共義は天徳の利にして、人間果断の神理天下の故に感通して天下の務をなす本なれば不盗の粗迹一いろをもて高明広大の義なりと云はみかみ山を富士山なりと云にことならず、邪婬戒を礼なりと云に似たり、しかれども礼は天徳の亨にして、人間恭敬樽節の神理天下の故に通じて、上宗廟朝廷より下民間に至まで、人倫の交、冠婚喪祭飲食軍陳等、万事の天理儀則を履をこなふ主宰なれば、不邪婬一色を礼なりと云は、一勺の水を大海なりと云が如し、
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司馬法・仁本天下既に平らぎ、天子大いに愷(がい)し、春は蒐(しゅう)し秋は獮(せん)す。諸侯は春に旅を振い、秋に兵を治む。戦を忘れざる所以なり。古は、奔るを逐うこと百歩を過ぎず、綏(すい)を縦(お)うこと三舎を過ぎず、是を以て其の礼を明らかにす。不能を窮めずして傷病を哀憐す、是を以て其の義を明らかにす。列を成して皷(こ)す、是を以て其の信を明らかにす。
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