晏子春秋 / 問下・景公問桓公何以致霸晏子對以下賢以身
景公問于晏子曰:「昔吾先君桓公善飲酒,窮樂,食味方丈,好色,無別辟,若此,何以能率諸侯以朝天子乎?」晏子對曰:「昔吾先君桓公變俗以政,下賢以身。管仲,君之賊也。知其能,足以安國濟功,故迎之于魯郊,自禦,禮之於廟。異日,君過於康莊,聞甯戚歌,止車而聽之,則賢人之風也,舉以為大田。先君見賢不留,使能不怠,是以內政則民懷之,征伐則諸侯畏之。今君聞先君之過,而不能明其大節,桓公之霸也,君奚疑焉?」
新字:景公問于晏子曰:「昔吾先君桓公善飲酒,窮楽,食味方丈,好色,無別辟,若此,何以能率諸侯以朝天子乎?」晏子対曰:「昔吾先君桓公変俗以政,下賢以身。管仲,君之賊也。知其能,足以安国済功,故迎之于魯郊,自禦,礼之於廟。異日,君過於康荘,聞甯戚歌,止車而聴之,則賢人之風也,舉以為大田。先君見賢不留,使能不怠,是以内政則民懐之,征伐則諸侯畏之。今君聞先君之過,而不能明其大節,桓公之覇也,君奚疑焉?」
書き下し
景公、晏子に問いて曰く、「昔、吾が先君桓公は、酒を飲むに善く、楽しみを窮め、味を食うこと方丈、色を好みて、別辟無し。此くの若きに、何を以て能く諸侯を率いて天子に朝せしめしか」と。晏子対えて曰く、「昔、吾が先君桓公は、俗を変うるに政を以てし、賢に下るに身を以てす。管仲は、君の賊なり。其の能の以て国を安んじ功を済すに足るを知り、故に之を魯の郊に迎え、自ら禦し、之を廟に礼す。異日、君、康荘に過りて、甯戚の歌を聞き、車を止めて之を聴き、則ち賢人の風なりとして、挙げて以て大田と為す。先君は賢を見て留めず、能を使うて怠らず、是を以て内政には則ち民之に懐き、征伐には則ち諸侯之を畏る。今君は先君の過ちを聞きて、其の大節を明らかにする能わず。桓公の霸たること、君奚ぞ疑わんや」と。
現代語訳
景公が晏子に尋ねました。「昔、わが先君の桓公は、酒を飲んで楽しみを尽くし、食事は一丈四方に並べ、女色を好んで慎みがなかった。それなのに、どうして諸侯を率いて天子に朝見させることができたのか」。晏子は答えます。「昔、先君の桓公は、風俗を変えるのに政治を用い、賢者に対して自らへりくだりました。管仲は桓公にとって賊のような存在でした。しかしその能力が国を安んじ功を成すに足ると知っていたので、魯の郊外まで迎え、自ら車を御し、廟で礼を尽くしました。後日、桓公は康荘の道を通りかかって甯戚の歌を聞き、車を止めて耳を傾け、これは賢人の風情だと言って、取り立てて大田の官に任じました。先君は賢者を見ればとどめず、有能な者を使えば怠らず、それで内政では民が慕い、征伐では諸侯が畏れました。今の君は先君の過ちばかり聞いて、その大きな節度を明らかにできません。桓公が覇者となったことを、どうして疑うのですか」。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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呂氏春秋・贊能②管子は束縛せられて魯に在り。桓公、鮑叔を相にせんと欲す。鮑叔曰く、「吾が君、霸王たらんと欲すれば、則ち管夷吾、彼に在り。臣は若かざるなり。」桓公曰く、「夷吾は寡人の賊なり。我を射し者なり。不可なり。」鮑叔曰く、「夷吾は其の君の為に人を射し者なり。君若し得て之を臣とせば、則ち彼も亦た將に君の為に人を射んとせん。」桓公聽かず、強いて鮑叔を相とせんとす。固く辭して相を讓る,桓公果して之を聽く。是に於てか人をして魯に告げしめて曰く、「管夷吾は寡人の讎なり。願わくば之を得て親ら手を加えん。」魯君許諾し、乃ち吏をして其の拳を鞹し、其の目を膠し、之を盛るに鴟夷を以てし、之を車中に置かしむ。齊の境に至るや、桓公、人をして朝車を以て之を迎え、祓うに爟火を以てし、釁するに犧猳を以てし、生かして之と國に如かしむ。有司に命じて廟を除わしめ、筵几して之に薦めて曰く、「孤の夷吾の言を聞きし自り、目は益々明らかに、耳は益々聰なり。孤敢て專らにせず。敢て以て先君に告ぐ。」因りて顧みて管子に命じて曰く、「夷吾、予を佐けよ。」管仲還り走り、再拜稽首して、令を受けて出づ。管子、齊國を治め、事を舉げて功有れば、桓公必ず先づ鮑叔を賞して曰く、「齊國をして管子を得しめし者は、鮑叔なり。」桓公は賞を行うことを知れりと謂う可し。凡そ賞を行うには其の本を欲す。本なれば則ち過ち由りて生ずること無ければなり。
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荀子・仲尼篇是くの若くして亡びず、乃ち霸たるは、何ぞや。曰く、於乎、夫の斉の桓公は天下の大節有り。夫れ孰か能く之を亡ぼさん。倓然として管仲の能の以て国を託するに足るを見るは、是れ天下の大知なり。安んじて其の怒りを忘れ、出でて其の讎を忘れ、遂に立てて仲父と為すは、是れ天下の大決なり。立てて以て仲父と為すも、貴戚も之を妒むを敢えてする莫し。之に高・国の位を与うるも、本朝の臣も之を悪むを敢えてする莫し。之に書社三百を与うるも、富人も之を距むを敢えてする莫し。貴賤長少、秩秩焉として、桓公に従いて之を貴び敬わざるは莫し。是れ天下の大節なり。諸侯に一節此くの如き有らば、則ち之を能く亡ぼす莫し。桓公は此の数節を兼ねて尽く之を有つ。夫れ又た何ぞ亡ぶ可けんや。其の霸たるや、宜なるかな。幸いに非ず、数なり。
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『長短経』任長管仲曰く「昇降揖譲、進退閑習なるは、臣は隰朋に如かず。請う、立てて以て大行と為せ。土を闢き粟を聚め、地の利を尽くすは、臣は甯戚に如かず。請う、立てて以て司田と為せ。平原広牧、車は轍を結ばず、士は踵を旋らさず、之を鼓して三軍の士、死を視ること帰するが如きは、臣は王子城父に如かず。請う、立てて以て大司馬と為せ。獄を決し中を折り、不辜を殺さず、不罪を誣いざるは、臣は賓胥無に如かず。請う、立てて以て大理と為せ。君の顔色を犯し、諫を進めて必ず忠、死亡を避けず、富貴に撓まざるは、臣は東郭牙に如かず。請う、立てて以て大諫と為せ。君若し国を治め兵を強くせんと欲せば、則ち五子なる者存す。若し覇王たらんと欲せば、則ち夷吾此に在り」と。
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『帝範』求賢第三齊(せい)は一匡(いっきょう)の業(ぎょう)を成(な)すこと、實(まこと)に仲父(ちゅうほ)の謀(はかりごと)に資(と)り、漢(かん)は六合(りくごう)を以(も)って家(いへ)と為(な)すこと、是(こ)れ淮陰(わいいん)の䇿(さく)に頼(よ)る。
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孔子家語・賢君子貢、孔子に問いて曰わく、「今の人臣、孰か賢と為す。」子曰わく、「吾れ未だ識らざるなり、往者齊に鮑叔有り、鄭に子皮有り、則ち賢者なり。」子貢曰わく、「齊に管仲無く、鄭に子產無し。」子曰わく、「賜、汝は徒だ其の一を知りて、未だ其の二を知らざるなり。汝聞く力を用うるを賢と為すか、賢を進むるを賢と為すか。」子貢曰わく、「賢を進むるは賢なり。」子曰わく、「然り。吾れ聞く鮑叔は管仲を達し、子皮は子產を達すと。未だ二子の己の才より賢を達すと聞かざるなり。」
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呂氏春秋・任數③有司、事を齊の桓公に請う。桓公曰く、「以て仲父に告げよ。」有司又請う。公曰く、「仲父に告げよ。」是くの若くすること三たび。習者曰く、「一にも則ち仲父、二にも則ち仲父、易きかな君為ること。」桓公曰、「吾未だ仲父を得ざれば則ち難し、已に仲父を得し後は、曷為れぞ其れ易からざらん。」桓公、管子を得てすら、事猶ほ大いに易し。又況んや道術を得るに於いてをや。
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