養生訓 / 巻第六・慎病
一冬朝に出でて、遠くゆかば、酒を飮んで寒をふせぐべし。空腹にして寒にあたるべからず。酒をのまざる人は粥を食ふべし、生薑をも食ふべし。陰霧の中遠く行くべからず。やむ事を得ずして遠く行かば、酒食を以て防ぐべし。
新字:一冬朝に出でて、遠くゆかば、酒を飲んで寒をふせぐべし。空腹にして寒にあたるべからず。酒をのまざる人は粥を食ふべし、生薑をも食ふべし。陰霧の中遠く行くべからず。やむ事を得ずして遠く行かば、酒食を以て防ぐべし。
書き下し
一冬朝に出でて、遠くゆかば、酒を飲んで寒をふせぐべし。空腹にして寒にあたるべからず。酒をのまざる人は粥を食ふべし、生薑をも食ふべし。陰霧の中遠く行くべからず。やむ事を得ずして遠く行かば、酒食を以て防ぐべし。
現代語訳
冬の朝に出かけて遠くへ行くなら、酒を飲んで寒さを防ぐべきです。空腹で寒さにあたってはいけません。酒を飲まない人は粥を食べるべきで、生姜も食べるとよいです。陰気な霧の中を遠くへ行ってはいけません。やむを得ず遠くへ行くなら、酒食によって防ぐべきです。
解説
冬の朝の外出の心得を述べた短い条です。空腹のまま寒さに当たるのを避け、酒か粥、生姜などで体の内から温めてから出かけよと勧めています。酒を飲まない人への代わりの方法まで示しているのが益軒らしい配慮です。霧の中を遠く行くのも避けよと注意しています。寒い朝に朝食を抜いて出かけることは体を冷やし、体調を崩すもとになります。温かい朝食をとってから外に出るという当たり前の習慣の大切さを、改めて思い出させてくれる一条です。
この章句が説くこと
冬朝食寒さ外出養生
関連する章句
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『養生訓』巻第六・慎病一冬は天地の陽気とぢかくれ、人の血気をさまる時なり。心気を閑にしをさめて保つべし。あたため過して、陽気を発し泄すべからず、上気せしむべからず。衣服をあぶるに、少しあたためてよし。熱きを忌む。衣を多くかさね、又は火気を以て、身をあたため過すべからず。熱湯に浴すべからず。労力して汗を発し、陽を泄すべからず。
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『養生訓』巻第三・飲食上一飯はよく熟して、中心まで和かなるべし。こはく粘きを忌む。煖なるに宜し。羹は熱きに宜し。酒は夏月も温なるべし。冷飲は脾胃をやぶる。冬月も熱飲すべからず。気を上せ血液をへらす。一飯を炊ぐに法多し。たきぼしは壮実なる人に宜し。饙は、積聚気滞ある人に宜し。湯取飯は、脾胃虚弱の人に宜し。粘りて糊の如くなるは滞塞す。硬きは消化し難し、新穀の飯は性つよくして虚人はあしし。殊に早稲は気を動かす、病人に忌む。晩稲は性かろくしてよし。
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『養生訓』巻第四・飲酒一凡酒はただ朝夕の飯後にのむべし。昼と夜と空腹に飲むべからず。皆害あり。朝間空腹にのむは、殊更脾胃をやぶる。一凡酒は夏冬ともに冷飲熱飲に宜しからず。温酒を飲むべし。熱飲は気升る。冷飲は痰をあつめ、胃をそこなふ。丹渓は、酒は冷飲に宜しといへり。然れども、多く飲む人冷飲すれば脾胃を損ず。少し飲む人も、冷飲すれば食気を滞らしむ。凡酒をのむは、其温気をかりて陽気を助け、食滞をめぐらさんかためなり。冷飲すれば二の益なし。温酒の陽を助け、気をめぐらすにしかず。
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