養生訓 / 巻第五・五官
一凡一日に一度、わが首より足に至るまで、惣身のこらず、殊につがひの節ある所、ことごとく人に撫でさすり押さしむる事、各所十遍ならしむべし。先百會の穴、次に頭の四方のめぐり、次に兩眉の外、次に眉じり、又鼻ばしらのわき、耳の内、耳のうしろを皆押すべし。次に風池、次に項の左右を摩む。左には右手、右には左手を用ふ。次に兩の肩、次に臂骨のつがひ、次に腕、次に手の十指をひねらしむ。次に背を押へ、ちうごかすべし。次に腰及腎堂を撫でさする。次に胸、兩乳、次に腹を多くなづる。次に兩股、次に兩膝、次に脛の表裏、次に足の踝、足の甲、次に足の十指、次に足の心、皆兩手にて撫でひねらしむ。是壽養叢書の說なり。我手にてみづからするもよし。
新字:一凡一日に一度、わが首より足に至るまで、惣身のこらず、殊につがひの節ある所、ことごとく人に撫でさすり押さしむる事、各所十遍ならしむべし。先百会の穴、次に頭の四方のめぐり、次に両眉の外、次に眉じり、又鼻ばしらのわき、耳の内、耳のうしろを皆押すべし。次に風池、次に項の左右を摩む。左には右手、右には左手を用ふ。次に両の肩、次に臂骨のつがひ、次に腕、次に手の十指をひねらしむ。次に背を押へ、ちうごかすべし。次に腰及腎堂を撫でさする。次に胸、両乳、次に腹を多くなづる。次に両股、次に両膝、次に脛の表裏、次に足の踝、足の甲、次に足の十指、次に足の心、皆両手にて撫でひねらしむ。是寿養叢書の説なり。我手にてみづからするもよし。
書き下し
一凡一日に一度、わが首より足に至るまで、惣身のこらず、殊につがひの節ある所、ことごとく人に撫でさすり押さしむる事、各所十遍ならしむべし。先百会の穴、次に頭の四方のめぐり、次に両眉の外、次に眉じり、又鼻ばしらのわき、耳の内、耳のうしろを皆押すべし。次に風池、次に項の左右を摩む。左には右手、右には左手を用ふ。次に両の肩、次に臂骨のつがひ、次に腕、次に手の十指をひねらしむ。次に背を押へ、ちうごかすべし。次に腰及腎堂を撫でさする。次に胸、両乳、次に腹を多くなづる。次に両股、次に両膝、次に脛の表裏、次に足の踝、足の甲、次に足の十指、次に足の心、皆両手にて撫でひねらしむ。是寿養叢書の説なり。我手にてみづからするもよし。
現代語訳
およそ一日に一度、自分の頭から足に至るまで、全身残らず、とくに関節のある所を、ことごとく人に撫でさすり押してもらうのがよく、それぞれの所を十回ずつにさせるべきです。まず百会の穴、次に頭の四方のまわり、次に両眉の外、次に眉じり、また鼻筋のわき、耳の中、耳の後ろをみな押すべきです。次に風池、次にうなじの左右をもみます。左には右手、右には左手を用います。次に両肩、次に肘の関節、次に腕、次に手の十指をひねらせます。次に背中を押さえ、打ち動かすべきです。次に腰と腎堂を撫でさすります。次に胸、両乳、次に腹を多く撫でます。次に両股、次に両膝、次にすねの表と裏、次に足のくるぶし、足の甲、次に足の十指、次に足の裏の中心を、みな両手で撫でひねらせます。これは『寿養叢書』の説です。自分の手で自分でするのもよいです。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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『養生訓』巻第五・五官一膝より下のはぎのおもてうらを、人をして手を以てしばしば撫でくださせ、足の甲をなで、其後足のうらをしきりに多く撫で、足の十指を引かすれば、気を下しめぐらす。みづからするは尤よし。是良法なり。一気のよくめぐりて快き時に、導引按摩すべからず。又冬月按摩を忌む事、内経に見えたり。身を労動して気上る病には、導引按摩ともにあしし。只身をしづかに動かし歩行する事は、四時ともによし。尤飯後によろし。湧泉の穴を撫づる事も、四時ともによし。
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『養生訓』巻第五・五官閑暇ある人は、日々かくの如くす。又奴婢児童にをしへて、跗を撫でさせ、足心をしきりにすらせ、熱生じてやむ。又足の指を引かしむ。朝夕如此すれば、気下り、気めぐり、足の痛を治す。甚益あり。遠方へ歩行せんとする時、又は歩行して後、足心を右のごとく按すべし。
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『養生訓』巻第五・五官一髪はおほくけづるべし。気をめぐらし、上気をくだす。櫛の歯しげきは、髪ぬけやすくしてあしし。牙歯はしばしばたたくべし。歯をかたくし、虫ばまず。時々両の手を合せすりてあたため、両眼をあたためのすべし。目を明らかにし、風をさる。よつて髪ぎはより、下額と面を、上より下になづる事二七遍、古人、両手はつねに面に在るべしと云へるは、時々両手にて面を撫つべしとなり。如此すれば、気をめぐらし、上気をくだし、面色をうるはしくす。左右の中指を以て、鼻の両わきを多くなで、両耳の根を多くなづべし。
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『養生訓』巻第五・五官一五更に起きて坐し、一手にて足の五指をにぎり、一手にて足の心を撫でさする事、久しくすべし。如此して足心熱せば、両手を用ひて、両足の指を動すべし。右の法、奴婢にも命じて、かくのごとくせしむ。或は云、五更にかぎらず、毎夜おきて坐し、如此する事久しければ、足の病なし。上気を下し、足よわく立ちがたきを治す。久しくして怠らざれば、脚のよわきをつよくし、足の立ちかぬるをよく癒す。甚しるしある事を古人いへり。養老寿親書、及び東坡が説にも見えたり。
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『養生訓』巻第五・五官一臥す時、童子に手を以て合せ擦らせ熱せしめて、わが腎堂を久しく摩でしめ、足心をひさしく摩でしむべし。みづから如此するもよし。又腎堂の下、臀の上をしづかにうたしむべし。一毎夜臥さんとするとき、櫛にて髪をしきりにけづり、湯にて足を洗ふべし。是よく気をめぐらす。又臥にのぞんで、煎茶に塩を加へ、口をすすぐべし。口中を清くし、牙歯を堅くす。下茶よし。
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『養生訓』巻第五・五官如此する事各三度。次に手の背にて、左右の腰の上、京門のあたりをすぢかひに、下に十余度なで下し、次に両手を以て腰を按す。両手の掌にて、腰の上下をしばしばなで下す。是食気をめぐらし、気を下す。次に手を以て、臀の上をやはらかに打つ事十余度。次に股膝を撫でくだし、両手をくみて、三里の辺をかかへ、足を先へふみ出し、左右の手を前へ引き、左右の足ともに、如此する事しばしばすべし。次に左右の手を以て、左右の跗の表裏をなで下す事数度。次に足の心を湧泉の穴と云ふ。片足の五指を片手にて握り、湧泉の穴を、左手にて右をなで、右手にて左をなづる事、各数十度。又両足の大指をよく引き、残る指をもひねる。是術者のする導引の術なり。
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