養生訓 / 巻第五・五官
一臥す時、童子に手を以て合せ擦らせ熱せしめて、わが腎堂を久しく摩でしめ、足心をひさしく摩でしむべし。みづから如此するもよし。又腎堂の下、臀の上をしづかにうたしむべし。一每夜臥さんとするとき、櫛にて髪をしきりにけづり、湯にて足を洗ふべし。是よく氣をめぐらす。又臥にのぞんで、煎茶に鹽を加へ、口をすゝぐべし。口中を淸くし、牙齒を堅くす。下茶よし。
新字:一臥す時、童子に手を以て合せ擦らせ熱せしめて、わが腎堂を久しく摩でしめ、足心をひさしく摩でしむべし。みづから如此するもよし。又腎堂の下、臀の上をしづかにうたしむべし。一毎夜臥さんとするとき、櫛にて髪をしきりにけづり、湯にて足を洗ふべし。是よく気をめぐらす。又臥にのぞんで、煎茶に塩を加へ、口をすゝぐべし。口中を清くし、牙歯を堅くす。下茶よし。
書き下し
一臥す時、童子に手を以て合せ擦らせ熱せしめて、わが腎堂を久しく摩でしめ、足心をひさしく摩でしむべし。みづから如此するもよし。又腎堂の下、臀の上をしづかにうたしむべし。一毎夜臥さんとするとき、櫛にて髪をしきりにけづり、湯にて足を洗ふべし。是よく気をめぐらす。又臥にのぞんで、煎茶に塩を加へ、口をすすぐべし。口中を清くし、牙歯を堅くす。下茶よし。
現代語訳
寝るときに、子どもに手をこすり合わせて熱くさせ、自分の腎堂(腰の腎のあたり)を長くさすらせ、足の裏を長くさすらせるべきです。自分でこのようにするのもよいです。また腎堂の下、尻の上を静かにたたかせるべきです。毎夜寝ようとするときは、櫛で髪をしきりにくしけずり、湯で足を洗うべきです。これはよく気をめぐらせます。また寝る前に、煎茶に塩を加えて口をすすぐべきです。口の中を清らかにし、歯を丈夫にします。下等の茶がよいです。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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『養生訓』巻第五・五官閑暇ある人は、日々かくの如くす。又奴婢児童にをしへて、跗を撫でさせ、足心をしきりにすらせ、熱生じてやむ。又足の指を引かしむ。朝夕如此すれば、気下り、気めぐり、足の痛を治す。甚益あり。遠方へ歩行せんとする時、又は歩行して後、足心を右のごとく按すべし。
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『養生訓』巻第五・五官一髪はおほくけづるべし。気をめぐらし、上気をくだす。櫛の歯しげきは、髪ぬけやすくしてあしし。牙歯はしばしばたたくべし。歯をかたくし、虫ばまず。時々両の手を合せすりてあたため、両眼をあたためのすべし。目を明らかにし、風をさる。よつて髪ぎはより、下額と面を、上より下になづる事二七遍、古人、両手はつねに面に在るべしと云へるは、時々両手にて面を撫つべしとなり。如此すれば、気をめぐらし、上気をくだし、面色をうるはしくす。左右の中指を以て、鼻の両わきを多くなで、両耳の根を多くなづべし。
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『養生訓』巻第五・五官一五更に起きて坐し、一手にて足の五指をにぎり、一手にて足の心を撫でさする事、久しくすべし。如此して足心熱せば、両手を用ひて、両足の指を動すべし。右の法、奴婢にも命じて、かくのごとくせしむ。或は云、五更にかぎらず、毎夜おきて坐し、如此する事久しければ、足の病なし。上気を下し、足よわく立ちがたきを治す。久しくして怠らざれば、脚のよわきをつよくし、足の立ちかぬるをよく癒す。甚しるしある事を古人いへり。養老寿親書、及び東坡が説にも見えたり。
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『養生訓』巻第五・五官一牙歯をみがき、目を洗ふ法、朝ごとに、まづ熱湯にて目を洗ひあたため、鼻中をきよめ、次に温湯にて口をすすぎ、昨日よりの牙歯の滞を吐きすて、ほしてかわける塩を用ひて、上下の牙歯とはぐきをすりみがき、温湯をふくみ、口中をすすぐ事二三十度、其間に、まづ別の碗に温湯を荒布の小篩を以てこして入れ置き、次に手と面をあらひをはりて、口にふくめる塩湯を、右のあら布の小ぶるひに吐き出し、こして碗に入れ、其塩湯を以て、目を洗ふ事、左右各十五度、其後別に入れ置きたる碗の湯にて、目を洗ひ口をすすぐべし。是にてをはる。毎朝かくの如くにして怠りなければ、久しくして牙歯うごかず、老いてもおちず、虫くはず、目あきらかにして、老にいたりても、目の病なく、夜細字をよみ書く。
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『養生訓』巻第五・五官一膝より下のはぎのおもてうらを、人をして手を以てしばしば撫でくださせ、足の甲をなで、其後足のうらをしきりに多く撫で、足の十指を引かすれば、気を下しめぐらす。みづからするは尤よし。是良法なり。一気のよくめぐりて快き時に、導引按摩すべからず。又冬月按摩を忌む事、内経に見えたり。身を労動して気上る病には、導引按摩ともにあしし。只身をしづかに動かし歩行する事は、四時ともによし。尤飯後によろし。湧泉の穴を撫づる事も、四時ともによし。
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『養生訓』巻第五・五官一凡一日に一度、わが首より足に至るまで、惣身のこらず、殊につがひの節ある所、ことごとく人に撫でさすり押さしむる事、各所十遍ならしむべし。先百会の穴、次に頭の四方のめぐり、次に両眉の外、次に眉じり、又鼻ばしらのわき、耳の内、耳のうしろを皆押すべし。次に風池、次に項の左右を摩む。左には右手、右には左手を用ふ。次に両の肩、次に臂骨のつがひ、次に腕、次に手の十指をひねらしむ。次に背を押へ、ちうごかすべし。次に腰及腎堂を撫でさする。次に胸、両乳、次に腹を多くなづる。次に両股、次に両膝、次に脛の表裏、次に足の踝、足の甲、次に足の十指、次に足の心、皆両手にて撫でひねらしむ。是寿養叢書の説なり。我手にてみづからするもよし。
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