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養生訓 / 巻第五・五官

一つねに居る處は、南に向ひ、戶に近く明なるべし。陰欝にしてくらき處に、常に居るべからず、氣をふさぐ。又輝き過ぎたる陽明の處も、常に居ては精神をうばふ。陰陽の中にかなひ、明暗相半すべし。甚だ明ければ簾をおろし、暗ければ簾をかゝぐべし。一臥すには必ず東首して生氣をうくべし、北首して死氣をうくべからず。もし君父近きにあらば、あとにすべからず。

新字:一つねに居る処は、南に向ひ、戸に近く明なるべし。陰欝にしてくらき処に、常に居るべからず、気をふさぐ。又輝き過ぎたる陽明の処も、常に居ては精神をうばふ。陰陽の中にかなひ、明暗相半すべし。甚だ明ければ簾をおろし、暗ければ簾をかゝぐべし。一臥すには必ず東首して生気をうくべし、北首して死気をうくべからず。もし君父近きにあらば、あとにすべからず。

書き下し

一つねに居る処は、南に向ひ、戸に近く明なるべし。陰欝にしてくらき処に、常に居るべからず、気をふさぐ。又輝き過ぎたる陽明の処も、常に居ては精神をうばふ。陰陽の中にかなひ、明暗相半すべし。甚だ明ければ簾をおろし、暗ければ簾をかかぐべし。一臥すには必ず東首して生気をうくべし、北首して死気をうくべからず。もし君父近きにあらば、あとにすべからず。

現代語訳

いつも居る所は、南に向き、戸口に近く明るくあるべきです。陰気で暗い所にいつも居てはいけません、気がふさがります。また輝きすぎる明るい所も、いつも居ると精神を奪われます。陰と陽のほどよいところにかない、明るさと暗さが半ばするようにすべきです。明るすぎれば簾を下ろし、暗ければ簾を上げるべきです。寝るときは必ず東を枕にして生気を受けるべきで、北を枕にして死気を受けてはいけません。もし主君や父が近くにいるならば、そちらに足を向けてはいけません。

解説

住まいと寝方についての心得です。暗すぎる所も明るすぎる所も避け、簾で光を調節して明暗を半ばにせよという教えは、何事も中ほどをよしとする益軒の中庸の考えを住環境に当てはめたものです。東枕で生気を受け北枕を避けるのは当時の習俗ですが、主君や父の方へ足を向けないという礼儀も添えられています。日当たりと照明をほどよく整えることは、気分や睡眠の質に関わるとして、今でも住まいづくりで大切にされる点です。

この章句が説くこと

住まい陰陽睡眠中庸礼

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