養生訓 / 巻第三・飲食上
一四時、老幼ともに、あたゝかなる物くらふべし。殊に夏月は伏陰内にあり。わかく盛なる人も、あたゝかなる物くらふべし。生冷を食すべからず。滯りやすく、泄瀉しやすし。冷水多く飮むべからず。一夏月瓜菓生菜多く食ひ、冷麵をしばしば食し、冷水を多く飮めば、秋必ず瘧痢を病む。凡病は故なくしておこらず。かねてつゝしむべし。
新字:一四時、老幼ともに、あたゝかなる物くらふべし。殊に夏月は伏陰内にあり。わかく盛なる人も、あたゝかなる物くらふべし。生冷を食すべからず。滞りやすく、泄瀉しやすし。冷水多く飲むべからず。一夏月瓜菓生菜多く食ひ、冷麺をしばしば食し、冷水を多く飲めば、秋必ず瘧痢を病む。凡病は故なくしておこらず。かねてつゝしむべし。
書き下し
一四時、老幼ともに、あたたかなる物くらふべし。殊に夏月は伏陰内にあり。わかく盛なる人も、あたたかなる物くらふべし。生冷を食すべからず。滞りやすく、泄瀉しやすし。冷水多く飲むべからず。一夏月瓜菓生菜多く食ひ、冷麺をしばしば食し、冷水を多く飲めば、秋必ず瘧痢を病む。凡病は故なくしておこらず。かねてつつしむべし。
現代語訳
四季を通じて、老人も若者も温かい物を食べなさい。とくに夏は、陰の気が体内に伏しています。若く盛んな人でも温かい物を食べなさい。生もの冷たい物を食べてはいけません。滞りやすく、下痢をしやすいのです。冷たい水を多く飲んではいけません。夏に瓜や果物、生野菜を多く食べ、冷たい麺をたびたび食べ、冷たい水を多く飲めば、秋には必ず瘧(おこり)や痢病(下痢)を病みます。およそ病は、理由なく起こるものではありません。前もって慎みなさい。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
-
『養生訓』巻第六・慎病一夏は発生の気いよいよさかんにして、汗もれ、人の肌膚大に開く故、外邪入りやすし。涼風に久しくあたるべからず、沐浴の後風に当るべからず。且夏は伏陰とて陰気かくれて腹中にある故、食物の消化する事おそし。多く飲食すべからず。温なる物を食ひて、脾胃をあたたむべし。冷水を飲むべからず。すべて生、冷の物を忌む。冷麺多く食ふべからず。虚人は尤泄瀉のうれひおそるべし。冷水に浴すべからず。暑甚しき時も、冷水を以て面目を洗へば眼を損ず、冷水にて手足洗ふべからず、睡中に扇にて人にあふがしむべからず、風にあたり臥すべからず、夜外に臥すべからず、夜外に久しく坐して、露気にあたるべからず、極暑の時も極めて涼しくすべからず、日に久しく曝せる熱物の上に坐すべからず。
-
『養生訓』巻第八・養老一衰老の人は脾胃よわし。夏月は尤慎みて保養すべし。暑熱によりて、生冷の物をくらへば泄瀉しやすし。瘧痢もおそるべし。一たび病すれば大にやぶれて、元気へる。残暑の時、殊におそるべし。又寒月は、老人は陽気すくなくして、寒邪にやぶられやすし。心を用ひてふせぐべし。
-
『養生訓』巻第四・飲食下一夏月、器中にふたをして、久しくありて熱気に蒸鬱し、気味悪しくなりたる物、食ふべからず。冬月、霜に打たれたる菜、又のきの下に生じたる菜、皆食ふべからず。是皆陰物なり。一瓜は風涼日、及び秋月清涼の日不可食。極暑の時食ふべし。
-
『養生訓』巻第三・飲食上一飯はよく熟して、中心まで和かなるべし。こはく粘きを忌む。煖なるに宜し。羹は熱きに宜し。酒は夏月も温なるべし。冷飲は脾胃をやぶる。冬月も熱飲すべからず。気を上せ血液をへらす。一飯を炊ぐに法多し。たきぼしは壮実なる人に宜し。饙は、積聚気滞ある人に宜し。湯取飯は、脾胃虚弱の人に宜し。粘りて糊の如くなるは滞塞す。硬きは消化し難し、新穀の飯は性つよくして虚人はあしし。殊に早稲は気を動かす、病人に忌む。晩稲は性かろくしてよし。
-
『養生訓』巻第六・慎病一四月は純陽の月なり。尤色慾を禁ずべし。雉鶏など温熱の物食ふべからず。一四時の内、夏月尤保養すべし。霍乱、中暑、傷食、泄瀉、瘧痢の病おこりやすし。生、冷の飲食を禁じて、慎みて保養すべし、夏月此病おこれば、元気へりて大に労す。
-
『養生訓』巻第三・飲食上一外にのぞんで、食滞り痰ふさがらば、少し消導の薬をのむべし。夜臥して、痰のんどにふさがるは、おそるべし。一日短き時、昼の間、点心食ふべからず。日永き時も、昼は多く食はざるが宜し。一晩食は、朝食より少くすべし。飣肉も少きに宜し。
人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。
本の中身を見る