養生訓 / 巻第六・慎病
一四月は純陽の月なり。尤色慾を禁ずべし。雉鷄など溫熱の物食ふべからず。一四時の內、夏月尤保養すべし。霍亂、中暑、傷食、泄瀉、瘧痢の病おこりやすし。生、冷の飮食を禁じて、愼みて保養すべし、夏月此病おこれば、元氣へりて大に勞す。
新字:一四月は純陽の月なり。尤色慾を禁ずべし。雉鶏など温熱の物食ふべからず。一四時の内、夏月尤保養すべし。霍乱、中暑、傷食、泄瀉、瘧痢の病おこりやすし。生、冷の飲食を禁じて、慎みて保養すべし、夏月此病おこれば、元気へりて大に労す。
書き下し
一四月は純陽の月なり。尤色慾を禁ずべし。雉鶏など温熱の物食ふべからず。一四時の内、夏月尤保養すべし。霍乱、中暑、傷食、泄瀉、瘧痢の病おこりやすし。生、冷の飲食を禁じて、慎みて保養すべし、夏月此病おこれば、元気へりて大に労す。
現代語訳
四月は純陽の月です。とくに色欲を禁じるべきです。雉や鶏など温熱の性質の物を食べてはいけません。四季のうちでは、夏にもっとも保養すべきです。霍乱、暑気あたり、食あたり、下痢、瘧や痢病がおこりやすいからです。生もの・冷たい物の飲食を禁じて、慎んで保養すべきです。夏にこれらの病がおこると、元気が減って大いに疲れます。
解説
陰暦四月と夏全体の養生を述べた短い単位です。四月は陽気が満ちる「純陽の月」なので色欲を慎み、熱性の食べ物を避けよとしています。さらに四季の中で夏が最も保養を要する季節だとし、暑気あたりや食あたり、下痢などの病がおこりやすく、一度かかると元気を大きく損なうと注意しています。食中毒や熱中症、夏バテが心配される今の夏にも、冷たい物や傷みやすい物に気をつけ、体力を温存するという心がけはそのまま役立ちます。
この章句が説くこと
夏季節色欲食あたり養生
関連する章句
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『養生訓』巻第六・慎病一夏は発生の気いよいよさかんにして、汗もれ、人の肌膚大に開く故、外邪入りやすし。涼風に久しくあたるべからず、沐浴の後風に当るべからず。且夏は伏陰とて陰気かくれて腹中にある故、食物の消化する事おそし。多く飲食すべからず。温なる物を食ひて、脾胃をあたたむべし。冷水を飲むべからず。すべて生、冷の物を忌む。冷麺多く食ふべからず。虚人は尤泄瀉のうれひおそるべし。冷水に浴すべからず。暑甚しき時も、冷水を以て面目を洗へば眼を損ず、冷水にて手足洗ふべからず、睡中に扇にて人にあふがしむべからず、風にあたり臥すべからず、夜外に臥すべからず、夜外に久しく坐して、露気にあたるべからず、極暑の時も極めて涼しくすべからず、日に久しく曝せる熱物の上に坐すべからず。
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『養生訓』巻第三・飲食上一四時、老幼ともに、あたたかなる物くらふべし。殊に夏月は伏陰内にあり。わかく盛なる人も、あたたかなる物くらふべし。生冷を食すべからず。滞りやすく、泄瀉しやすし。冷水多く飲むべからず。一夏月瓜菓生菜多く食ひ、冷麺をしばしば食し、冷水を多く飲めば、秋必ず瘧痢を病む。凡病は故なくしておこらず。かねてつつしむべし。
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『養生訓』巻第六・慎病一六七月酷暑の時は、極寒の時より元気へりやすし、よく保養すべし。加味生脉散、補気湯、医学六要の新製清暑益気湯など、久しく服して、元気の発泄するを収歛すべし。一年の内、時令のために、薬を服して保養すべきは、此時なり。東垣の清暑益気湯は、湿熱を消散する方なり。純補の剤にあらず。其病なくば服すべからず。
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『養生訓』巻第六・慎病一秋は夏の間肌開け、七八月は残暑も猶烈しければ、腠理いまだとぢず。表気いまだ堅からざるに、秋風すでにいたりぬれば、感じてやぶれやすし、慎んで風涼にあたり過すべからず。病ある人は、八月残暑退きて後、所々に灸して、風邪をふせぎ、陽を助けて、痰咳のうれひをまぬかるべし。
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『養生訓』巻第八・養老一衰老の人は脾胃よわし。夏月は尤慎みて保養すべし。暑熱によりて、生冷の物をくらへば泄瀉しやすし。瘧痢もおそるべし。一たび病すれば大にやぶれて、元気へる。残暑の時、殊におそるべし。又寒月は、老人は陽気すくなくして、寒邪にやぶられやすし。心を用ひてふせぐべし。
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