養生訓 / 巻第三・飲食上
一脾胃虛弱の人、老人などは、餅、餐、饅頭などの類、堅くして冷えたる物くらふべからず。消化しがたし。つくりたる菓子、生菓子の類、くらふ事斟酌すべし。折により人によりて、甚害あり。晩食の後殊に忌むべし。一古人、寒月朝ごとに、性平和なる藥酒を少しのむべし、立春以後はやむべしといへり。人により宜しかるべし。燒酒にて釀したる藥酒は用ふべからず。
新字:一脾胃虚弱の人、老人などは、餅、餐、饅頭などの類、堅くして冷えたる物くらふべからず。消化しがたし。つくりたる菓子、生菓子の類、くらふ事斟酌すべし。折により人によりて、甚害あり。晩食の後殊に忌むべし。一古人、寒月朝ごとに、性平和なる薬酒を少しのむべし、立春以後はやむべしといへり。人により宜しかるべし。焼酒にて醸したる薬酒は用ふべからず。
書き下し
一脾胃虚弱の人、老人などは、餅、餐、饅頭などの類、堅くして冷えたる物くらふべからず。消化しがたし。つくりたる菓子、生菓子の類、くらふ事斟酌すべし。折により人によりて、甚害あり。晩食の後殊に忌むべし。一古人、寒月朝ごとに、性平和なる薬酒を少しのむべし、立春以後はやむべしといへり。人により宜しかるべし。焼酒にて醸したる薬酒は用ふべからず。
現代語訳
脾胃の弱い人や老人などは、餅・団子・饅頭などのたぐいで、硬くて冷えた物を食べてはいけません。消化しにくいのです。作り菓子や生菓子のたぐいも、食べることは加減しなさい。時により人によって、大いに害があります。夕食の後はとくに避けなさい。昔の人は、寒い季節には毎朝、性質の穏やかな薬酒を少し飲むのがよく、立春以後はやめるべきだと言いました。人によってはよいでしょう。焼酎で醸した薬酒は用いてはいけません。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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『養生訓』巻第四・飲食下一老人虚人の食ふべからざる物一切。生冷の物、堅硬の物、稠黏の物、油膩の物、冷麺、冷えてこはき餻餌、粽冷饅頭、幷に、糯飯、生味噌、醴の製法好からざると、冷なると。○海鰌海鰮、鮪梭魚、諸生菓、皆脾胃の発生の気をそこなふ。
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『養生訓』巻第三・飲食上一飯はよく熟して、中心まで和かなるべし。こはく粘きを忌む。煖なるに宜し。羹は熱きに宜し。酒は夏月も温なるべし。冷飲は脾胃をやぶる。冬月も熱飲すべからず。気を上せ血液をへらす。一飯を炊ぐに法多し。たきぼしは壮実なる人に宜し。饙は、積聚気滞ある人に宜し。湯取飯は、脾胃虚弱の人に宜し。粘りて糊の如くなるは滞塞す。硬きは消化し難し、新穀の飯は性つよくして虚人はあしし。殊に早稲は気を動かす、病人に忌む。晩稲は性かろくしてよし。
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『養生訓』巻第八・養老一老人は、大風雨大寒暑大陰霧の時、外に出づべからず。かかる時は、内に居て、外邪をさけて静養すべし。一老いては、脾胃の気衰へよわくなる。食すくなきに宜し、多食するは危し。老人の頓死するは、十に九は皆食傷なり。わかくして脾胃つよき時に、ならひて食過ぐれば、消化しがたく、元気ふさがり病おこりて死す。つつしみて食を過すべからず。ねばき飯こはき飯、もち、だんご、麪類、糯の飯、獣の肉、凡消化しがたき物を多くくらふべからず。
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『養生訓』巻第三・飲食上一脾胃のこのむときらふ物を知りて、好む物を食し、きらふ物を食すべからず。脾胃の好む物は何ぞや。あたたかなる物、やはらかなる物、よく熟したる物、ねばりなき物、味淡くかろき物、にえばなの新に熟したる物、きよき物、新しき物、香よき物、性平和なる物、五味の偏ならざる物、是皆脾胃の好む物なり。是脾胃の養となる、くらふべし。
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『養生訓』巻第八・養老一朝夕の飯、常の如く食して、其上に又餻餌麪類など、わかき時の如く多くくらふべからず、やぶられやすし。只朝夕二時の食、味よくして進むべし。昼間夜中不時の食このむべからず、やぶられやすし。殊に薬をのむ時、不時に食すべからず。
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『養生訓』巻第四・飲酒一市に買ふ酒に灰を入れたるは毒あり。酸味あるも飲むべからず。酒久しくなりて味変じたるは毒あり。のむべからず。濁酒の濃きは脾胃に滞り、気をふさぐ。飲むべからず。醇酒の美なるを朝夕飯後に少し飲んで微酔すべし。醴酒は製法精しきを少し熱飲すれば胃を厚くす。あしきを冷飲すべからず。
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