養生訓 / 巻第三・飲食上
一凡飮食をひかへこらふる事、久しき間にあらず、飮食する時、須臾の間欲を忍ぶにあり。又分量は多きにあらず、飯は只二三口、飣は只一二片、少しの欲をこらへて食せざれば害なし。酒も亦しかり。多飮の人も、少しこらへて醉ひ過ぎざれば害なし。
新字:一凡飲食をひかへこらふる事、久しき間にあらず、飲食する時、須臾の間欲を忍ぶにあり。又分量は多きにあらず、飯は只二三口、飣は只一二片、少しの欲をこらへて食せざれば害なし。酒も亦しかり。多飲の人も、少しこらへて酔ひ過ぎざれば害なし。
書き下し
一凡飲食をひかへこらふる事、久しき間にあらず、飲食する時、須臾の間欲を忍ぶにあり。又分量は多きにあらず、飯は只二三口、飣は只一二片、少しの欲をこらへて食せざれば害なし。酒も亦しかり。多飲の人も、少しこらへて酔ひ過ぎざれば害なし。
現代語訳
およそ飲食を控えこらえることは、長い間のことではありません。飲食する時の、ほんのしばらくの間、欲を忍ぶことにあります。また分量も多いわけではありません。飯はただ二、三口、おかずはただ一、二切れ、そのわずかな欲をこらえて食べなければ害はありません。酒もまた同じです。大酒飲みの人でも、少しこらえて酔い過ぎなければ害はありません。
解説
食べ過ぎを防ぐのは大きな我慢ではなく、食べているその場のほんの少しの辛抱だと説いた、励ましの条です。こらえる量も飯なら二、三口、おかずなら一、二切れにすぎないと具体的に言われると、実行できそうな気持ちになります。「須臾」はほんのしばらくの意で、巻第一の「莫大之禍は起于須臾不忍」とも響き合います。大きな目標より小さな習慣を重ねるほうが続くという考えは、今の行動習慣づくりの知恵と同じで、ダイエットや節酒にも役立ちます。
この章句が説くこと
忍耐節度養生酒習慣
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