養生訓 / 巻第二・総論下
一攝生の七養あり、是を守るべし。一には、言をすくなくして內氣を養ふ。二には、色慾を戒めて精氣を養ふ。三には、滋味を薄くして血氣を養ふ。四には、津液をのんで臟氣を養ふ。五には、怒をおさへて肝氣を養ふ。六には、飮食を節にして胃氣を養ふ。七には、思慮を少くして心氣を養ふ。是壽親養老書に出でたり。
新字:一摂生の七養あり、是を守るべし。一には、言をすくなくして内気を養ふ。二には、色慾を戒めて精気を養ふ。三には、滋味を薄くして血気を養ふ。四には、津液をのんで臓気を養ふ。五には、怒をおさへて肝気を養ふ。六には、飲食を節にして胃気を養ふ。七には、思慮を少くして心気を養ふ。是寿親養老書に出でたり。
書き下し
一摂生の七養あり、是を守るべし。一には、言をすくなくして内気を養ふ。二には、色慾を戒めて精気を養ふ。三には、滋味を薄くして血気を養ふ。四には、津液をのんで臓気を養ふ。五には、怒をおさへて肝気を養ふ。六には、飲食を節にして胃気を養ふ。七には、思慮を少くして心気を養ふ。是寿親養老書に出でたり。
現代語訳
摂生の七養があります。これを守りなさい。一つには、言葉を少なくして内気を養う。二つには、色欲を戒めて精気を養う。三つには、滋味を薄くして血気を養う。四つには、津液を飲み込んで臓気を養う。五つには、怒りを抑えて肝気を養う。六つには、飲食を節度あるものにして胃気を養う。七つには、思慮を少なくして心気を養う。これは『寿親養老書』に出ています。
解説
宋元の養老書『寿親養老新書』(益軒は『寿親養老書』と呼ぶ)に出る「摂生の七養」を紹介しています。言葉、色欲、味の濃さ、津液、怒り、飲食、思慮の七つを節して、内気・精気・血気・臓気・肝気・胃気・心気を養えというものです。前の単位の四寡と重なる項目が多く、益軒の養生論が古典の蓄積の上に立っていることがわかります。七つをすべて守るのは難しくても、一つずつ意識して日々の暮らしに取り入れることで、心身は確実に整っていきます。
この章句が説くこと
摂生七養気津液怒り
関連する章句
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『養生訓』巻第二・総論下一養生の道、多くいふ事を用ひず。只飲食をすくなくし、病をたすくる物を食はず、色慾をつつしみ、精気ををしみ、怒哀憂思を過さず、心を平らかにして気を和け、言をすくなくし、無用の事をはぶき、風寒暑湿の外邪をふせぎ、又時々身を動かし、歩行し、時ならずしてねぶり臥す事なく、食気をめぐらすべし。是養生の要なり。
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『養生訓』巻第一・総論上一凡養生の道は、内慾をこらふるを以て本とす。本をつとむれば、元気つよくして外邪おかさず。内慾を慎まずして、元気よわければ、外邪にやぶられ易くして、大病となりて命をたもたず。内慾をこらふるに、其の大なる条目は、飲食をよきほどにして過さず、脾胃をやぶり病を発する物をくらはず。色慾をつつしみて精気を惜み、時ならずして臥さず。久しく睡る事をいましめ、久しく安坐せず。時々身をうごかして、気をめぐらすべし。殊に食後には、必ず数百歩歩行すべし。若久しく安坐し、又食後に穏坐し、ひる寝ね、食気いまだ消化せざるに早く臥しねぶれば、滞りて病を生じ、久しきをつめば、元気発生せずしてよわくなる。常に元気をへらす事を惜みて、言語をすくなくし、七情をよきほどにし、七情の内にて、取わき、いかり、かなしみ、うれひ、思ひをすくなくすべし。
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『養生訓』巻第一・総論上一養生の術は、先心気を養ふべし。心を和かにし、気を平かにし、いかりと慾とをおさへ、うれひ思ひをすくなくし、心をくるしめず、気をそこなはず、是心気を養ふ要道なり。又臥す事を好むべからず。久しく睡り臥せば気滞りてめぐらず。飲食いまだ消化せざるに早く臥し睡れば、食気ふさがりて甚元気をそこなふ。いましむべし。酒は微酔に飲み、半酣をかぎりとすべし。食は半飽に食ひて、十分に満つべからず。酒食ともに限を定めて、節にこゆべからず。又わかき時より、色慾をつつしみ、精気を惜むべし。精気を多くつひやせば、下部の気よわくなり、元気の根本たえて、必ず命短し。もし飲食色慾の慎なくば、日々補薬を服し、朝夕食補をなすとも、益なかるべし。
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『格言聯璧』攝生類・心上より病を卻くるの法風寒を慎み、飲食を節す、是れ吾が身上より病を卻くるの法なり。 嗜欲を寡くし、煩惱を戒む、是れ吾が心上より病を卻くるの法なり。 思慮を少なくして以て心氣を養ひ、色欲を寡くして以て腎氣を養ひ、妄りに動くこと勿くして以て骨氣を養ひ、嗔怒を戒めて以て肝氣を養ひ、滋味を薄くして以て胃氣を養ひ、言語を省きて以て神氣を養ひ、多く書を讀みて以て膽氣を養ひ、時令に順ひて以て元氣を養ふ。
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『養生訓』巻第二・総論下一内慾をすくなくし、外邪をふせぎ、身を時々労動し、ねぶりをすくなくす。此の四は養生の大要なり。一気を和平にし、あらくすべからず。静かにして、妄に動すべからず。ゆるやかにして急なるべからず。言語をすくなくして、気をうごかすべからず。つねに気を臍の下にをさめて、胸にのぼらしむべからず。是気を養ふ法なり。
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『養生訓』巻第一・総論上一気は一身体の内にあまねく行きわたるべし。むねの中一所にあつむべからず。いかり、かなしみ、うれひ、思ひあれば胸中一所に気とどこほりて集る。七情の過ぎて滞るは、病の生ずる基なり。一俗人は慾をほしいままにして礼義にそむき、気を養はずして天年をたもたず。理気二ながら失へり。仙術の士は養気に偏にして道理を好まず。故に礼義をすててつとめず。陋儒は理に偏にして気を養はず。修養の道を知らずして天年をたもたず。此の三はともに君子の行ふ道にあらず。
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