養生訓 / 巻第二・総論下
一古人は詠歌舞踏して血脈を養ふ。詠歌はうたふなり。舞踏は手のまひ足のふむなり。皆心を和げ、身をうごかし、氣をめぐらし、體をやしなふ養生の道なり。今導引按摩して氣をめぐらすがごとし。一おもひをすくなくして神を養ひ、慾をすくなくして精を養ひ、飮食をすくなくして胃を養ひ、言をすくなくして氣を養ふべし。是養生の四寡なり。
新字:一古人は詠歌舞踏して血脈を養ふ。詠歌はうたふなり。舞踏は手のまひ足のふむなり。皆心を和げ、身をうごかし、気をめぐらし、体をやしなふ養生の道なり。今導引按摩して気をめぐらすがごとし。一おもひをすくなくして神を養ひ、慾をすくなくして精を養ひ、飲食をすくなくして胃を養ひ、言をすくなくして気を養ふべし。是養生の四寡なり。
書き下し
一古人は詠歌舞踏して血脈を養ふ。詠歌はうたふなり。舞踏は手のまひ足のふむなり。皆心を和げ、身をうごかし、気をめぐらし、体をやしなふ養生の道なり。今導引按摩して気をめぐらすがごとし。一おもひをすくなくして神を養ひ、慾をすくなくして精を養ひ、飲食をすくなくして胃を養ひ、言をすくなくして気を養ふべし。是養生の四寡なり。
現代語訳
古人は歌を詠み、舞い踊って血脈を養いました。詠歌とは歌うことです。舞踏とは手を舞わせ足を踏むことです。みな心を和らげ、体を動かし、気をめぐらせ、体を養う養生の道です。今の導引や按摩で気をめぐらせるのと同じです。思い悩みを少なくして神(精神)を養い、欲を少なくして精を養い、飲食を少なくして胃を養い、言葉を少なくして気を養いなさい。これが養生の四寡です。
解説
古人が歌い舞うことで血脈を養ったことを、今の導引や按摩と同じ養生の道だと説いています。儒学では礼楽が重んじられ、音楽や舞は心を和らげる修養でもありました。後半の「四寡」は、思い・欲・飲食・言葉の四つを少なくして、神・精・胃・気をそれぞれ養えという教えです。歌うことや踊ることが心身によいことは今もよく知られています。カラオケやダンスを楽しみつつ、四つの「少なく」を心がけることが、心と体の両方を養う道になります。
この章句が説くこと
養生四寡歌舞踏気
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