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大和俗訓 / 巻之七・躬行下

一忠信を主として僞なく、仁愛深くして人をあはれみ、義理をかたく守りて、行ふべき節を失はず、父母兄弟に孝友をあつくし、主君に仕へて身をわすれ、親戚をしたしみて疎からず、朋友に信實にしてたのもしく、家にありて、嚴にして内行正しく、儉約にして奢なく、貧窮をめぐみ、艱難をすくひ、利欲すくなく、權勢をへつらはず、舊恩を忘れず、武をたしなみ、軍用を缺かず、一度約諾したること後まで背かざるを良士とすべし。

新字:一忠信を主として偽なく、仁愛深くして人をあはれみ、義理をかたく守りて、行ふべき節を失はず、父母兄弟に孝友をあつくし、主君に仕へて身をわすれ、親戚をしたしみて疎からず、朋友に信実にしてたのもしく、家にありて、厳にして内行正しく、倹約にして奢なく、貧窮をめぐみ、艱難をすくひ、利欲すくなく、権勢をへつらはず、旧恩を忘れず、武をたしなみ、軍用を欠かず、一度約諾したること後まで背かざるを良士とすべし。

書き下し

一忠信を主として偽なく、仁愛深くして人をあはれみ、義理をかたく守りて、行ふべき節を失はず、父母兄弟に孝友をあつくし、主君に仕へて身をわすれ、親戚をしたしみて疎からず、朋友に信実にしてたのもしく、家にありて、厳にして内行正しく、倹約にして奢なく、貧窮をめぐみ、艱難をすくひ、利欲すくなく、権勢をへつらはず、旧恩を忘れず、武をたしなみ、軍用を欠かず、一度約諾したること後まで背かざるを良士とすべし。

現代語訳

忠信を主として偽りがなく、仁愛が深くて人をあわれみ、義理をかたく守って行うべき節を失わず、父母兄弟に孝行と友愛を厚くし、主君に仕えて身を忘れ、親戚に親しんで疎遠にせず、友人には誠実で頼もしく、家にあっては厳しく家の内の行いが正しく、倹約でおごりがなく、貧窮に恵み、艱難を救い、利欲が少なく、権勢にへつらわず、昔の恩を忘れず、武をたしなみ、軍の備えを欠かさず、一度約束したことを後まで背かない人を、良士とすべきです。

解説

よき武士の条件を一気に列挙した一条です。誠実さ、思いやり、節義、家族への孝行と友愛、主君への忠、親戚や友人との関係、家庭での正しさ、倹約、困窮者への援助、無欲、権力に媚びない姿勢、恩を忘れないこと、武芸と備え、約束を守ること。武士の理想像ですが、職業や時代を置き換えれば、信頼される大人の条件としてそのまま通用します。自分はどれができていて、どれが足りないか、一つずつ点検してみると、自分を磨く目標が見えてくるでしょう。

この章句が説くこと

良士忠信孝倹約約束

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