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大和俗訓 / 巻之六・躬行上

其心にしたがひて、人倫を厚く愛し、次に鳥獸以下の萬物を愛してそこなはざる、是天地の御心にしたがふなり。卽是仁なり。仁を行ふは、天につかへ奉りて、其大恩の萬一をむくふ道なり。天地は人の大父母なり。人は天地の子なれば、是天地につかへ奉る孝の道なり。人となる者の、一生つとめ行ふべき道、是より大なるはなく、是より急なるはなし。人となる者、必知らずんばあるべからず。此こと前卷に旣にいへり。初學の人に知らせんために、しばしばいふなり。

新字:其心にしたがひて、人倫を厚く愛し、次に鳥獣以下の万物を愛してそこなはざる、是天地の御心にしたがふなり。即是仁なり。仁を行ふは、天につかへ奉りて、其大恩の万一をむくふ道なり。天地は人の大父母なり。人は天地の子なれば、是天地につかへ奉る孝の道なり。人となる者の、一生つとめ行ふべき道、是より大なるはなく、是より急なるはなし。人となる者、必知らずんばあるべからず。此こと前巻に既にいへり。初学の人に知らせんために、しばしばいふなり。

書き下し

其心にしたがひて、人倫を厚く愛し、次に鳥獣以下の万物を愛してそこなはざる、是天地の御心にしたがふなり。即是仁なり。仁を行ふは、天につかへ奉りて、其大恩の万一をむくふ道なり。天地は人の大父母なり。人は天地の子なれば、是天地につかへ奉る孝の道なり。人となる者の、一生つとめ行ふべき道、是より大なるはなく、是より急なるはなし。人となる者、必知らずんばあるべからず。此こと前巻に既にいへり。初学の人に知らせんために、しばしばいふなり。

現代語訳

その御心に従って、人倫を厚く愛し、次に鳥獣以下の万物を愛してそこなわないこと、これが天地の御心に従うことです。すなわちこれが仁です。仁を行うのは、天に仕えて、その大恩の万分の一に報いる道です。天地は人の大いなる父母です。人は天地の子なので、これが天地に仕える孝の道です。人となる者が一生努め行うべき道で、これより大きなものはなく、これより急なものはありません。人となる者は、必ず知らなければなりません。このことは前の巻ですでに言いました。初学の人に知らせるために、しばしば言うのです。

解説

前の段の続きで、人をまず厚く愛し、次に鳥や獣をはじめ万物を傷つけないことが天地の心に従う仁であり、それが天地の子としての孝行だと説いています。人から万物へと愛を広げていく順序は、儒教の「親を親しみて民に仁し、民に仁して物を愛す」という孟子の考えに基づいています。益軒は、すでに述べたことでも初学者のために繰り返すと言います。大切なことは何度でも伝えるという教育者としての姿勢が、この一言によく表れています。

この章句が説くこと

仁天地孝万物教育

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