導師導古典を学びたいすべての人に

大和俗訓 / 巻之六・躬行上

一中庸曰、言顧行、行顧言。言ふ意は、言と行とは相違なかるべし。言を出すに、わが身の行をかへりみて言ふべし。事を行ふには、己が言をかへりみて行ふべし。言ふ事はやすく、行ふ事はかたし。故に言はひかへていひ、行は言より過すべし。如此すれば、言と行と相違なし。口にいふ事あまり有りて、身に行ふ事足らざるは、是言行のそむけるなり。恥づべし。

書き下し

一中庸曰く、言は行を顧み、行は言を顧みる。言ふ意は、言と行とは相違なかるべし。言を出すに、わが身の行をかへりみて言ふべし。事を行ふには、己が言をかへりみて行ふべし。言ふ事はやすく、行ふ事はかたし。故に言はひかへていひ、行は言より過すべし。如此すれば、言と行と相違なし。口にいふ事あまり有りて、身に行ふ事足らざるは、是言行のそむけるなり。恥づべし。

現代語訳

『中庸』に「言は行を顧み、行は言を顧みる」とあります。その意味は、言葉と行いは食い違ってはならないということです。言葉を出すには、自分の身の行いをかえりみて言いなさい。事を行うには、自分の言葉をかえりみて行いなさい。言うことはやさしく、行うことは難しい。だから言葉は控えめに言い、行いは言葉より多くしなさい。このようにすれば、言葉と行いは食い違いません。口で言うことはあり余って、身に行うことが足りないのは、言行がそむいているのです。恥ずべきです。

解説

『中庸』第十三章の言葉を引いて、言行一致を説いています。言うのはたやすく行うのは難しいので、言葉は控えめにし、行いは言葉以上にせよと益軒は勧めます。『論語』里仁篇の「君子は言に訥にして行いに敏ならんことを欲す」にも通じる考えです。大きな目標を宣言しても実行が伴わなければ信用を失います。約束は少し控えめにして、それ以上の結果を出すほうが信頼されるという、仕事でもよく言われる心得の原型がここにあります。

この章句が説くこと

言行中庸信実行恥

関連する章句

古典の入門書『人生の教科書』の表紙

人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。

古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。

本の中身を見る
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)+師導1か月=700円 本を見る